もう…俺には(石垣夢)
なぁ、由香。
お前はどうして…。
俺じゃなくてアイツを選んだんや…。
部活も終わり俺は椅子に座り込む。
アイツ…どんな体力してんねや…。
そんな俺達を他所に
「後の片付けよろしゅうなぁ。」
アイツは俺達を残して部を後にする。
部室の外には…
アイツの彼女がいて。
アイツは彼女と手を繋いで帰る。
そんな俺は彼女の
由香の背中を見つめる。
なんでやろ…。
どこで、間違えてもたんやろか…。
由香は俺の好きな人で
意を決して彼女に告白した。
彼女は俺と付き合うてくれた。
俺の世界は幸福で満ち溢れとった。
アイツが現れるまでは…。
アイツはひょっこり現れて
リーダーの座と彼女を奪った。
いとも簡単に…嘘みたいに…。
俺は由香をもう愛する権利は
ないんやろか…。
俺は拳を強く握りしめた。