心愛と信愛 | ナノ

聞きたくない愛情。


今日で二日も会社を休んでいる…。
大丈夫なのだろうか…。
私は俊輔をみる。
「どうかしたか?由香。」
彼には悪いけど…
流石に言わないと…。
「やっぱり、会社行かないと…。」
彼はため息をついた。
「由香…。それについては大丈夫だ。何なら、休んだ分の給料を払っても構わない。」
「違うの…そんなに休んだら会社に悪いよ…。」
俊輔はきっと後の5日間も休ませるに違いない…。

彼の顔色が変わった…。
怖い…。
「俺より会社の方が大事か?」
それはそうだった。
俊輔は素敵な人だけど今は恐怖の対象なのだ。
それに会社をクビにされては困る。
「私はこれからも働かないと生きて行けないから。」
「俺はお前を愛しているのに?」
「そういう問題じゃなくて…。」
俊輔は頭を悩ませたが
「なら、明日会社へ行ってこい。」
「うん。ありがとう。」

ガッー
彼に抱き締められた。
「由香。俺とお前は仮でも夫婦だ。」
右手で顎に手を添え親指で私の唇をなぞる。
「俊輔…。」
「俺を愛する努力はしてくれ…。
それでも、駄目なら俺は諦めるから…。」
彼は腰に当てた手の力が強くなる。
まるで私を逃がさないように…。

「分かった…。分かったから…。
もう…手を離して…。」
私は顎にかけられた右手に手を添える。
「そうやって、夫の俺を避けるのか?」
「私達は本当の夫婦じゃない。」
「なら、なればいい。」
彼は私に無理矢理口付けをする。
「んっ…!んー!あっふ…ふぁ…。」
しかも、濃厚な口付けを…。
私の中の酸素が奪われていく…。
苦しい…辛い…。
私は彼の胸を叩くが一向に離れてくれない。
「ん…ふぁ…ん…!」
口付けは続く。
ただ、彼は私を求めて…。

「ふぁ…!」
彼の唇が離された…。
「すまない。お前が愛しくてつい…。」
「はぁ…はぁ…はぁ…。
なんで…こんな…こと…。」
私は失われた酸素を求めて深く呼吸をする。
「お前が愛しいから、好きでたまらないから…。」
「私達はまだ誰とも…。」
私は涙を流した…。
「泣かないでくれ由香…。
俺はお前の初めてのキスを貰えて嬉しい。
俺は幸せなんだ…。」




俊輔は私に愛を語る…。
私の気持ちを知らないで…。
私は聞きたくないのに…。







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