連載と薄桜鬼の世界設定について

連載完結にあたり、今までずっと引っかかりその後なんとか納得させた事柄をここでまとめたいと思います(今更)
読んでも読まなくても連載に特に支障はありません*


・双子という表現

当時双子、双生児といったものが東西問わず忌避される対象でありました。
畜生腹とか畜生孕みなどと称され忌み嫌われました。
特に男女の双子は前世からの心中の名残などと言われ最も忌み嫌われる組み合わせだったんですね。
しかし原作内では雪村兄妹が男女の双子と出てきていますが、特に上記のような風潮が反映されているわけでもなく、現代と変わらない感覚で受け止められているように思えます。
(本人の前でそういったものを出すまいとする彼らの優しさというものを考えましたが、単に制作上の大人の事情だと思います笑)
なのでこの点に関しては、連載中主に沖田と主人公に対して「双子」という表現をしているところがありますが、これは原作に合わせて特に反映させていません。
ただあの面々が沖田達のことを「双子」と表現するのは呆れ交じりというか、皮肉の意味が込められているかなーという程度で「双子」という単語を使っています。

・各登場人物の年齢

わざわざ書くこともないかなと思いつつ…。
年下組の年齢ははっきりさせておこうかと。
誕生日云々の概念はこの時代なく、すべて数えで年を重ねていくことを念頭において。
沖田総司の生まれについては諸説あり正確な史料は出ていませんので推定の域を出ませんが、当サイトでは天保13年(1842年)生まれ説をもとに設定しています。
主人公は沖田と同い年なので同じく1842年生まれになります。
なお、藤堂と斎藤は同い年なので天保15年(1844年)生まれ。


というわけで、池田屋事件(1864年)基準にすると。

沖田・主人公:22歳
斎藤・藤堂:20歳

といった感じでしょうか。
あれで2歳差って中々ですよね。


・季節感について

旧暦と新暦では季節の枠組みにズレがあることは皆様ご存じかと思いますが、一応旧暦は次の通りになります。

春:1〜3月
夏:4〜6月
秋:7〜9月
冬:10〜12月

体感としての季節の移り目は微妙だと思いますが、季節の挨拶もこの枠組みに沿っていました。
迎春などの言葉は今でもお正月に使われていますが、「まだ冬だろ」という現代人の至極まともなツッコミへの反論はここから生まれます。
しかし原作はここらへんのことは全く反映されていないんですね〜。
8月は秋という認識ですが蝉が鳴いていたり、随想録事件想起三の京都送り火は、現代では8月ですがゲーム内では7月でちゃんと旧暦に合わせているのに浴衣着ちゃってるよ…と。
秋に蝉か…浴衣か…そうか…となったのは良い思い出です。
まあ7月くらいなら残暑はあったかもしれないし、京都の暑さを考えると何とも言えないのですが流石に8月は秋真っ盛りだろう(ゲンドウのポーズ)ぐらいの勢いで引っかかっていました。

でもここまで忠実に再現しちゃうとプレイヤーに馴染みがなくなって物語に移入しにくくなるから、季節感云々は反映させてないんだろうなあと納得。
なので季節感については新暦と同じ感覚で書かせて頂きました。


・藩という呼称

これが一番違和感があったこと…(笑)
薩摩藩・会津藩・長州藩…原作には終始「藩」という言葉が登場しますが、実はこの「藩」という枠が一般的に使われるようになったのは明治に入ってからなんですね。
1868年――慶応4年/明治元年にあたる年ですが、この年の閏4月に大きな管制改革があり、地方制度は「府藩県三治制」というものになりました。
簡単に言えば国内の【地方行政】を整理し、旧幕府直轄都市を府、旗本領や幕府領を県、その他を藩とするものです。
ここで初めて「藩」という枠組みが公に使われるようになりました。
これまでにも一応「藩」という用語はありましたが、江戸時代の半ばに新井白石のような学者たちが中国の文献から取り出して使っていたとされ、ごく一部の人間の間のものでした。

しかしこの「藩」という枠組みも、2年後の1870年の廃藩置県により廃され県へと変わります。
よって、実際に「藩」という用語が公に使われていたのはこの2年の間だけでした。
それを、明治以降の日本史研究者たちがこの用語を江戸時代初めまで遡って使用したことによって、関ヶ原直後から「長州藩」「薩摩藩」という呼称があったという“錯覚”ができあがったと言われています。
このあたりの詳細は長いこと喋れるくらい色々あるんですけど…(笑)

以上のことはなんで原作に反映されていないんだろうと考えてみると、やはり世界に入りこみやすいようにという配慮なのかしら…くらいしか思いつかなかったのでそう納得させました(笑)
まあ何はともあれ原作内でバンバン使われているしなあ…ということで連載内でも明治維新前から「藩」という用語を使っています。



とこんな感じのことを考えながら書いていました。
他にもその都度何かしら思うことがあったんですけど、大きなものはこれくらいかな?
こう書き出してみると、原作・二次関係なく歴史ものを扱うのはやっぱり難しいなあとしみじみ思います。
今当たり前にあるものが普通にありませんしね。野菜とか特に。

そんな訳で今更感がやばいまとめになりましたが、ここまでありがとうございました!



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