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幸せになってください(ハルヤ)

俺の姫は未来様。

とても美しいお方だ。

だが…未来様はおそらく

洞潔のことが好きだ。

ならこのハルヤは

自らの恋心を抑えて

姫の恋を叶えて差し上げよう。

そう思っていた。


「ねえ…ハルヤくん。

ちょっと話があるんだ」

ある日そう言って姫と学校の屋上に行った。

「なんでしょうか、姫?」

俺はいつものように姫に跪く。

「もしかして私の気持ちを…」

「わ、わかっております!」

俺は慌てて姫の先の言葉を止めた。

俺だって姫に恋しているから

洞潔が好きだなんて聞きたくなかった。

「洞潔と幸せになってください。

あいつの良さは俺が保証します」

「ううん、そうじゃなくて…」

姫は少し頬を赤く染めていた。

「え?」

俺は驚いた。

姫は洞潔が好きではないのか?

「私が好きなのはハルヤくんだよ」

そして信じられないことを姫は言った。

「誠ですか?」

「こんな嘘つかないよ」

恥ずかしそうに

でもきっぱりと言ってくれた姫を

俺は強く強く抱きしめた。

「姫…私もあなたを愛しています」

やっと言えた本音は

屋上に吹く風だけが聞いていた。

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