サイクリング

ミクとスナフキンはスノークを訪ねた。

「急に呼び出してすまない。

是非、君達に乗ってほしくてね」

そう言ってスノークが布をとると

ピカピカの自転車が二台あった。

「これは自転車だね」

「自転車?」

「うん、僕も乗ったことはないけど」

不思議そうなミクに

スナフキンはそう説明した。

「そうなんだ。

空飛ぶ飛行船の下調べってところかな。

とりあえずこの作業所の前で乗ってごらん」

スノークは笑顔で二人を見た。


「…結構怖いかも」

「大丈夫かい、ミク」

自転車に苦戦するミクだったが

スナフキンはもう乗りこなしていた。

「さすがスナフキンだね」

スノークも満足そうだ。

「もしかしたら君はここの方がいいかな?」

そう言ってスナフキンは

ミクを見て荷台を指さした。

「え?いいの?」

「うん!

ねえ、スノーク

その辺を走って来てもいいかな?」

「ああ、いいよ」

スノークがうなずいたのを確認して

ミクは自転車から降りて

スナフキンの自転車の荷台に座った。

「慣れないしちゃんと僕に掴まってね」

「こう?」

ミクはスナフキンの両肩に手をのせた。

「ううん、こうだよ」

でもスナフキンは笑いながら

ミクが自分に抱きつくようにした。

「じゃあ出発!」

そう言ってスナフキンは自転車をこぎ始めた。

「わあ!早い!」

ぐんぐん森の木が歩くとは全然違うスピードで

通り過ぎていく。

「ミク、どう?」

「うん、とっても楽しい!」

「それはよかった」

そう会話した二人はしばらく黙っていたが

「ミク…愛しているよ」

そう突然スナフキンが言った。

「え?なんて言ったの?」

「もう何回も言わせないでよ。

愛しているよ」

スナフキンは前を向いたままはにかんだ。


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