第十六話「お誕生日」

「スナフキン

明日なんだけど…

色々忙しくて会えないと思うの」

そろそろスナフキンが帰る時間に

ミク姫はそう切り出した。

申し訳なさそうな顔になっているのを

スナフキンは珍しいなと思った。

「そっか…それは仕方ないね」

「うん、私のお誕生日だから」

「え?」

スナフキンは初耳で少し驚いた。

「この前の挨拶は…」

「あれは挨拶だけで本当は明日なの」

「そうだったのか。

じゃあご両親にたくさん甘えないとね」

「うん、ありがとう」

「明後日

僕も何かお祝いを持ってくるよ」

二人は微笑みあって

指切りもした。


二日後。

スナフキンは真っ赤なバラの花束を持って

いつものようにミク姫のところへ

やって来た。

「スナフキン…!」

「遅くなったけれど

お誕生日おめでとう、ミク姫」

感激したミク姫に

スナフキンは少し照れて言った。

スナフキンがこうやって女性の誕生日を祝うのは

初めてだったのだ。


to be continued


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