第十三話「写真」

スナフキンが来る前に

ミク姫は掃除をしていた。

身の回りの世話をする侍女がいるが

ミク姫は掃除が好きで

たまにこっそりテーブルを拭いたりすることがある。

「あ…!」

そして本を動かしたら

ひらりと何かが床に落ちた。

「これは…」

ミク姫は懐かしい想いになった。

それは幼馴染のリチャードとの写真だった。

ミク姫は幼い頃からリチャードが大好きで

でも病気で若くして亡くなってしまった。

トントントン

スナフキンが窓を叩く音で

ミクは我に返った。

慌ててミク姫は窓を開けた。

「ノックに気づかなかったけれど

どうしたの?」

「な、なんでもないわ」

「もしかしてその写真?」

ミク姫は写真をテーブルの上に

置いたままだった。

悪いことをしているわけではないのに

ミク姫は慌てた。

「これは…」

「ミク姫…無理には聞かないよ。

だけど出来れば話して欲しいな。

その過去があって

今のミク姫がいるのだから」

優しいスナフキンの声に

ミク姫は話し始めた。

リチャードとの悲恋の話を。

「…そうだったんだね」

スナフキンはミク姫に急接近した。

「す、スナフキン?!」

スナフキンは無言でミク姫の

右手首を掴んだ。

真剣な表情でキスできる距離だった。

「リチャードとこんなこともしたの?」

スナフキンはミク姫の顎に手を付けて

「スナフキン…」

どんどん二人の距離は縮まった。

コンコンコン

部屋のドアがノックされたのは

その時だった。

「邪魔が入ったね。

僕はもう行くね」

スナフキンはすぐにミク姫から離れると

窓から出て行った。

ドキドキしたミク姫は

その場に脱力した。

改めてスナフキンが男性だと

ミク姫は意識してしまった。


to be continued


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