第十二話「新年の挨拶」

南の国にもお正月がやって来た。

お城で行われる新年の挨拶は

すごい人混みだった。

その中には王様や王妃ではなく

ミク姫を目当てに来たものも多かった。

「すごい人気だな、ミク姫は…」

スナフキンは一人でそうつぶやいた。

そんなミク姫と自分はこっそり毎日会っているという

優越感と

もう一つ切ない気持ちをスナフキンは抱えていた。


数分後、歓声と拍手が起きた。

ミク姫の挨拶が始まったのだ。

「姫…」

スナフキンは切ない気持ちの方が強くなる。

(身分違いなのだろうな。

こんな気持ちになるのは…)

スナフキンは自分の気持ちに気づいていた。

だけど相手は姫で自分は旅人だ。

(春が来たら、僕はどうすればいい?)

ミク姫の笑顔を見ながら

スナフキンは心の中で自分自身に聞いた。

でも答えは見つからなかった。


to be continued


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