第十話「思い出の品」

「あれ?」

ミク姫の城へいつも通り向かうスナフキンは

ある露店が目に入った。

お城の前には城下町があって

南国のフルーツなど

沢山の品が露店に並んでいた。

スナフキンの目に留まったのはアクセサリー屋で

赤い石がついたペンダントに

スナフキンは魅入られた。

真っ赤な丸い石は細いシルバーのチェーンに

ぶら下がっている。

「彼女にプレゼントかい?」

小麦色の肌をした若い男性の店員がスナフキンに笑いかけた。

「彼女…では残念ながらないけど

これに似合いそうな女性を知っている」

スナフキンはそう言って

ペンダントを買った。

(ミク姫は宝石には飽きているかもしれないけれど

喜んでくれるといいな)

そう思う時間はスナフキンの心を満たしていた。


「スナフキン、こんにちは!」

「こんにちは、ミク姫。

突然だけど…今日は君に贈り物があるんだ」

「え?」

ペンダントが入った小さな包みを渡すスナフキン。

ミク姫はとても驚いて

赤い石のように目が丸くなった。

「開けてごらん?」

「う、うん!ありがとう」

ミク姫は包みを受け取って

丁寧に封を開けた。

「わあ!素敵!」

ミク姫は嬉しそうにペンダントを見た。

ちょうど日が当たったペンダントの石も

ミク姫の瞳も

スナフキンには輝いて見えた。

(よかった…)

ミク姫の嬉しそうな反応にスナフキンは

安堵した。

「君が持っているアクセサリーには

敵わないだろうけれど」

「そんなことないわ。

ありがとう、スナフキン」

早速ミク姫はペンダントをつけた。

細い首にペンダントはとても映えた。

「思った通りだ。

君は女性らしいから

赤が似合うと思ったんだ」

「嬉しいわ。

スナフキンとの最初の思い出の品ね」

そう言って微笑みあう二人は

まるで恋人のようだった。


to be continued


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