第四話「いい匂い」

スナフキンがミク姫のもとに通い始めて

三日目。

今日は小雨が降っていたが

スナフキンは気にせず傘を差さなかった。

「こんにちは、ミク姫」

「こんにちは、スナフキン!

いらっしゃい」

今日もスナフキンはいつもの昼下がりの時間に

ミク姫の部屋を訪れた。

スナフキンはいつものように

ミク姫が開けた窓から入ろうとしたが

「おっと…!」

足を滑らせて床に落ちそうになった。

「危ない!」

ミク姫はスナフキンを庇おうとしたが

スナフキンは何事もなく床に足をつけた。

「あ…!」

ただミク姫を

スナフキンが押し倒したような

姿勢になってしまう。

二人は一瞬見つめあって

次の瞬間慌てて離れた。

「姫…」

「ご、ごめんなさい!

スナフキンが危ないと思って…」

「ううん。こちらこそ、ごめんね」

スナフキンは慌ててミク姫から離れたが

(いい匂いがしたな)

なんて思った。

その日はずっとそれが忘れられない二人は

目を合わせることが出来なかった。

お互いを異性として意識し始めた

印象的な事件となったのだ。


to be continued


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