第三話「息抜き」

昼下がり。

スナフキンは約束の時間に

昨日のように外から

ミク姫の部屋の窓を叩いた。

「スナフキン!待っていたわ」

ミク姫は嬉しそうに窓を開けた。

まるで陽だまりのように温かい笑顔を

ミク姫はスナフキンに見せた。

まだ二回しか会ってないのに

その笑顔からはスナフキンへの信頼が

にじみ出ていた。

「そんなに僕を信用していいのかい?」

冗談半分でスナフキンは言ったが

「スナフキンは悪い人じゃないわ」

ミク姫はきっぱりと言った。

もちろん根拠はない。

「だけどお互い何も知らないね」

「そうね。

よかったら、スナフキンの話を聞きたいわ」

「そうだね…」

スナフキンは部屋にあったソファに座り

ムーミン谷の話をした。

ムーミンとは親友だということ

今ムーミンは冬眠していること…。

「私もムーミン達に会いたいわ」

「よかったら遊びにおいでよ。

君なら大歓迎さ」

「でも…」

さっきまで目を輝かせてスナフキンの話を聞いていたミク姫は

表情を曇らせた。

「ミク姫?」

「色々あってお父様が

成人するまで城の外に出るなって…」

ミク姫はうつむいて説明した。

スナフキンの親友ムーミンに会えないのが

ミク姫は悲しかった。

「そうだったのか…ごめんね」

「ううん!

スナフキンは悪くないの!

あ、私そろそろ時間だわ」

ミク姫は時計を見て慌てた。

もうすぐレッスンの時間なのだ。

「そうか。それじゃあ…」

「スナフキンさえよければ

毎日この時間に会いたいわ。

この時間はいつも一人だから」

帰りそうなスナフキンに

ミク姫はお願いした。

次の約束がないとスナフキンに

二度と会えない気がしたのだ。

「そうだね。

じゃあ明日からも会いに来るよ。

僕が来ることで

息抜きになればいいけど…」

「うん!とっても楽しいわ!」

ミク姫はにっこりと笑い

つられてスナフキンも笑った。

不思議な仲の二人だけど

とても信頼しているという自負が

二人の中にあった。


to be continued


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