第十四話


エンマ武闘会に出場することになり

未来達はお客様として

扱われるようになった。

「いいのかな?

こんなに特別扱いで」

夕食を食べて寝室に入った未来は

そう言った。

「いいんじゃねえか?

紫炎て奴の被害者なんだし」

「イツキらしい」

「本当に」

しかしいつもと変わらないイツキに

シンとタエは笑った。

「そう言えばイツキのバッグって

何が入ってるの?」

「これか?着替えだ」

タエの質問にイツキは答えたが

「え?」

「着替え?!」

未来とシンは意外そうな声を出した。

「なんだ?

みんな持ってきてないのか?

まさか日帰りで済むと思ったのか?」

しかしイツキは平然と言い

服を脱ごうとした。

「い、イツキ!」

「ここで着替えるの?」

女の子二人が慌てる。

「お?…あ、そうか。

風呂に入ってからだな」

「「そう言う問題じゃない」」

未来とタエは慌てて部屋を出た。

「ふう…」

「何考えてるんだろうね、イツキ」

未来達はため息をついたが

「あれ?

こんな所で何をしているの?」

聞いたことない声がした。

声がした方を見ると

赤い髪に灰色の皮膚

鬼と呼ぶのがぴったりな妖怪が

こちらに歩いてくるところだった。

「えっと…私達は…」

「そんなに緊張しないで。

見たところ人間のようだけど…」

徐々に縮まる妖怪との距離に

未来もタエも焦り始めた。

しかし

「酒呑童子!そこで何をしている」

ぬらりの声がして

酒呑童子と呼ばれた妖怪は止まった。

「おや、ぬらりひょん議長。

あなたこそ、どうしてここに?」

「様子を見に来てよかった。

ところで紫炎様がお前を呼んでいる」

「紫炎様が?!

そりゃ行かないといけないな。

じゃあね、人間ちゃん」

酒呑童子は逃げるように去って行った。

「私が来てよかったな」

「あの…ぬらりひょん議長?

ありがとうございます」

「助かりました」

ため息をつくぬらりに

未来とタエはお辞儀をした。

「礼には及ばぬ。

しかしこれに懲りて

あまり外出しない方がいい」

そう言い残してぬらりも去った。

「へー」

「あれ?イツキ?」

しかしイツキがそれを見ていたようだ。

「帰りが遅いと思ったんだが…

お前、ああいう男が好きなのか?」

「え?そうなの?未来」

「そんなわけないでしょう?」

イツキとタエに向かい

首を何度も横に振る未来だった。


to be continued







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