第三話


「コマさんとコマ次郎さんの家は

時計台なんだね」

大きな時計を未来は見上げた。

すると「どーん どーん」と音がした。

「なんの音?」

「この響き…」

「お母ちゃんズラ!」

二人は嬉しそうに扉を開けた。

「え?」

未来は音に驚いたが

この後更に驚くことになる。

「「お母ちゃん!!」」

扉を開いた二人が呼ぶと、大きな何かが動いた。

「おお、コマさん!コマ次郎…!」

「「お母ちゃーん」」

二人が「お母ちゃん」と呼んで抱き着いたのは

大きくて白い妖怪だった。

「でかっ!」

未来は思わず叫んでしまった。

「ん?そこのお嬢さんは?」

お母ちゃんは、そこで未来の存在に気付いた。

「オラ達の友達の未来ズラ」

「すごくいい人ズラよ」

「そうズラか…。

コマさんとコマ次郎が

お世話になっているズラねー」

お母ちゃんはお辞儀をするかのように

体をかがめた。

「それよりお母ちゃん、元気なんズラ?」

「ああ、元気ズラ!

嘘ついてゴメンズラね…

実は話したいことがあったんズラよ」

心配そうにしていたコマさんは

お母ちゃんの顔を覗き込んで安心したようだ。

具合が悪いと言うのは二人を呼ぶための嘘で

お母ちゃんは大事な話があるらしい。

お母ちゃんは恥ずかしそうにもじもじし始めた。

「なんズラ?」

コマさんがうきうきして聞いた。

やはり母のぬくもりに安心したのか

二人はとても嬉しそうで

見ている未来も和んだ。

「実はな…」

更に恥ずかしそうにお母ちゃんは話し始めた。

「「ん?」」

「オメエタチニオトウトガデキタズラ」

頬を染てお母ちゃんは言うが

早すぎて誰も聞き取れなかった。

「なんズラ?」

コマさんが困ったように聞く。

「実はな、おめえたちに

おとウトガデキタズラ!!」

今度も語尾は早口で肝心のことが聞けなった。

そこにいたコマさん、コマ次郎、未来の三人は

不思議に思った。

「わからないズラ」

「ちゃんと言うズラ」

二人はお母ちゃんにしがみつきながら聞いた。

「実はな」

お母ちゃんはようやく

ちゃんと話す気になったのか

ぴょんぴょん跳ねながら告げた。

「おめえたちに弟ができたズラ!」

「「ふえええええーえ?…もんげー!!!」」

二人は驚いてお決まりのセリフを叫んだ。


to be continued







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