生誕祭'10(仁王)

「ねぇ…仁王君。」

授業中…もとい自習中ふと彼に…
正しくは彼のしっぽ(髪)に声をかけた。

「んー…?」

彼は振り向かず答えるのでまるで
本当にしっぽと会話しているみたいだ。

「なんでしっぽついてるの?」

「しっぽって…髪のことか…」

どこか呆れたような声で彼は答えた。

「結ばんと邪魔じゃろ?」

「切ればいいじゃん」

「この髪型結構気に入っとるんじゃよ」

「へぇ…」

そっとしっぽを掴んで引っ張ってみる。
思ったよりそれはさらさらしていた。

「ちょ、絢那、引っ張るんじゃなかよ」

やっと彼は後ろを振り向いて私を見ると
迷惑そうな表情を浮かべていた。

「あ、やっと振り向いた」

意味もなくにこっと笑ってみる。

あ、ちょっと赤くなった。
なんか意外だなぁー…とか思っていると
突然あることを思い出した。

「ねぇ、仁王君。」

「今度はなんじゃ?」

「お誕生日おめでと!」

いきなり言われたので彼は目を丸くして
しばらく私を見ていたようだった。
そして我に返ったのか

「あ、ありがとうさん…」

と照れているのか小さく呟いた。




私は気付いている。

彼が好きなんだと。

ゆらゆらとゆれるしっぽを見つめて

気付いたら仁王雅治という人に恋してた。

どうして好きになったのかわからない。

あのしっぽを追いかけたら

わからないこと全部わかるかな…?

わかったら彼にも教えたいな、私のこと。



end.

2010.12.4

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