Worry(ティエ)

『ねぇ、アレルヤ。私はどうしたら良いと思う?』

「何?どうかしたの、絢那。」

たまたま、食堂に居たアレルヤに声をかけた。
とりあえず、あの人じゃなければ誰でも良かった。

『最近ダメなんだよね。なんか、こう・・・生きていていいのかなって思うんだよねぇ。』

「ちょ、いきなり何を言うんだよ!?しかも、そんな…。」

最近の私はこんな事ばかり考えていた。
世界を変えるためにこの組織にいるのだが、実際はそうでもない。
ただ暇だから。それだけ。
おかげ様で、世界中の醜い争いを何度も見て来た。

『もう、人間でいる事に嫌気がさしたって言えばいいのかな?』

「それって、絢那は死にたいってこと?」

『どうだろうね。もうわからないよ…。』

不覚にも、泣きそうになってしまった。

『あ〜・・・ごめんね!こんな辛気臭い話して!忘れて!!』

慌てて、私はそう言い残すと、そそくさとその場を後にした。

自室に戻った私は、少しでもこの重く、辛い気分を紛らわせようとした。
しかし、その方法が思うつかない。
仕方なく、ベッドに横になり眠る事にした。


どれほど眠ったであろうか。
おもむろに目を覚ますと、手から温かく、心地の良い温もりを感じた。
誰かに握られた手を見て、そのまま視線を上げると、そこには見慣れた姿が。

『ティ、エリア………?』

「おはよう。絢那。」

いつに無く不機嫌そうな彼の表情に疑問を覚えたが、今はそんなことはどうでも良かった。

『なんで?なんで、ティエリアが私の所に……。あ、何か用事?次のミッションの事?』

握られていた手はいつの間にか離されていた。

「なんで、はこっちの台詞だ!」

『はい?』

糸か切れたようにティエリアは私を責めた。

「なぜ、僕じゃなくて、彼に……アレルヤに話した!?」

なんの事か解らなかったが、しばらくして数時間前にアレルヤに話した事だと理解した。
きっと、心配したアレルヤはティエリアに教えたのだろう。

「そんなに僕が頼りないのか…?」

『違うよ。ただ…なんとなく、だよ。うん。』

本当の事は言わない。
彼を支える私は、彼の荷物になってはいけない。

「嘘だ。本当の事を教えろ。君は嘘をつくといつもそうやってうつむく。」

ティエリアは切なそうな顔をして、こちらを見つめる。
全てお見通しのティエリアに勝つ術はなかった。

『ティエリアに心配かけたくなかったんだよ……。』

「なぜそんな事を言うんだ。心配させてくれてもいいだろう…。
僕は絢那に辛い思いなんてさせたくないんだ。」

彼の温かい手は、再び私の手を包んだ。
その表情は先程とは違い軟らかい笑みを浮かべている。そんなこの人に癒される自分がいた。

「絢那、一人で抱え込むな。もっと、僕を頼っていいんだから……。」

『うん。ありがとう、ごめん。』


心配をかけない事が彼に悲しい思いをさせていた。

ごめんね。

これからはちゃんと頼ってあげる

だから、貴方も強がらないでね?



end.
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