夢の続きは目が覚めてから

「またあの夢…」

授業中の居眠りから目を覚ませば
そこにはいつもの教室の風景と友達の
千鶴ちゃん姿が目に入に入る。

「絢那ちゃん、もうお昼休みだよ?」

「おはよ。ちょっとお昼買ってくるね。」

席を立ち教室を出て売店へ向う廊下
を歩きながら最近よく見るあの人の夢
を思い出してみる。

どう考えても絶っ対にあり得ない上に
我ながらかなり恥ずかしい。




山南先生とキスなんて…







昼休みも終わり午後の授業が始まった。
そして、腹痛に襲われた。

教科担任の先生に断って一人お腹を押さえ
ながら保健室へと歩いて行った。

ふとあの夢が頭の中に浮かんだけれど
お腹の激痛ですぐに消えてしまった。

保健室に着き中へ入る。

「君は絢那さん、でしたね?」

山南先生がそばに来て椅子まで
支えながら誘導してくれた。

そしてちょっとした問診を受ける。

「おそらく食あたりですね」

「もしかしてお昼食べたパン…?」

「そうかもしれませんね。とりあえず今は
鎮痛剤を飲んで休んでください。」

「わかりました」

渡された薬を飲んで私はベッドへ入り
目を閉じる。

またあの夢を見てしまうのではないかと
思うと眠る事をためらってしまう。

ここは保健室で山南先生がいるんだし…




そもそもなんでこんな夢を見るのか。

いや、それは私が山南先生を好きだから
なんだと思ってる。

だとしたら、どれだけ私は彼に想いを
寄せているのだろうか…




私・・・どうかしてる・・・むしろ変態…?




山南先生と話したのはたったの1回。
風邪で保健室を訪れた時だけ。

完全に一目惚れ。


とかなんとかいろいろ考えているうちに
いつの間にか眠っていた。


それで、やっぱりあの夢を見てしまった。

しばらくしてチャイムの音で私は
夢から覚め、ゆっくりと目を開けた。


「・・・・!!!!」

目の前に山南先生の顔がどアップで
唇にはやわらかな感触が…


「おや?起きてしまったようですね。
おはようございます、絢那さん」

ガバッと体を起こし先生を見る。
頭がパニック状態で言葉が出てこない。

「貴女の寝顔があまりにも可愛いので
つい・・・・ね。」

いつもの微笑みで先生はさらりと言う。

しかも楽しげに
「キスで目が覚めるなんて良いですね」
と言っている。

「あ、あの…」

やっと話せるようになったが言いたいこと
がうまく言えない。
そんな私の状態を見て先生はまた微笑み
私のそばに腰を下ろしベッドが軋む。

「ああ、言い忘れていました…。
私は絢那さんが好きです。
絢那さんも私が好きですよね?」

わざとらしく耳元で囁かれる。
否定することは許されない気がした。

一気に頬が…いや、顔全体が熱を
帯びて赤くって行くのがわかる。
言葉がまた出てこないので私はただ
小さくコクンと頷いて見せた。

頷く私を見た先生は満足気に微笑み
「良かった」と小さく呟いて今度は
頬にキスをする。

どこまで私の頬は赤くなるのか…
そんなことを思うくらい顔が熱い。

相手の目を見るのがとても恥ずかしくて
どうしても俯いてしまう。

「絢那さん、顔を上げてください」

髪を梳くように撫でながら彼に言われ
ドキッと私の鼓動が大きく波打った。
断れなくておずおずと顔を上げる。

「本当に貴女が愛おしいのです」

真っ直ぐに見つめられればもう
目は逸らせなくなる。

「だから、保健室登校しませんか?」

「え…?」

想像もしていなかった言葉に唖然とする。

「クスクスッ…冗談です。」

この人は私が思っていたよりも
どこか違った性格と雰囲気の人なのだと
この瞬間、知った。

でも、彼が私に言った言葉同様に
私はそれでも彼を「愛しい」と
思ってしまうのはそれほど彼に
惚れてしまっているからだろう。



「私も敬助先生が愛しいです。」





この日を境に私は
毎日しっかり元気に保健室に通っている。

おかげで最近授業を欠席気味であるのは
考えるまでもない。



end.
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