番外編 夜霧vs黒燈
コンコンと軽くノックした黒燈は部屋の主の気配が無いことに首を傾げドアノブを回した
「って開けっ放しかよ」
簡単に開いたドアに突っ込みを入れながら黒燈はずかずかと中に上がり込んだ
「ったく、蒼火呼ぼうにもあの夜霧の奴が姿現わさねぇし。なんつーのを連絡鳥にしてんだての」
ブツブツ言いながらも念のために部屋を探していると、噂の夜霧がベランダに呑気に止まっているのが目に入った
「いた!夜霧にげんなよ!!」
逃げるなと言われれば勿論逃げるが勝ちと言うように羽を羽ばたかそうとしている夜霧に黒燈は慌てて影真似を使い捕らえた
「お前のご主人様を探してるだから大人しくしてろ」
ご主人様との言葉に反応した夜霧はひとまず話だけは聞いてやるかと言うように大人しく羽をたたんだ
「お前本当に言葉わかんだな…」
関心した黒燈の言葉に凄いだろと言うように胸を張り一鳴きしてみせる
「それにしても、偉そうな態度だよな」
一番に思ったのがそこなのか黒燈は攻撃を食らってもおかしくない言葉をサラッと言ってのけた
それに勿論と言って言いような反応を返したのは夜霧でどうやってか影真似を解いた夜霧は黒燈の頭の上に乗り、容赦なく尖ったくちばしを頭に向け
「ちょっ…まっ!!!落ち着けって夜霧!!!!ギャァァア!!!」
止める黒燈を無視しそのままくちばしを振り下ろした夜霧はそれを何度か繰り返すと満足したのか黒燈の頭の上から下りた
「夜霧てめぇ……!」
頭を抱えて涙ぐむ黒燈に夜霧はケッとでも言うようにそっぽを向いた
「ぜってぇ仕留める!」
かかってこいと言うように一鳴きして翼をはためかせる夜霧もやる気満々で黒燈を煽れば乗らなければ男じゃないだろうと意味分からない理屈でクナイを構えた瞬間
「何やってんですか?」
だるそうな、めんどくさそうな声を出した人物に一人と一匹は動きを止めた
「蒼火!お前いつからっ」
「開けっ放しかよって辺りからですね」
「一番最初からじゃねーか!!」
元気いっぱいに突っ込みを入れてくる黒燈をサラッと無視し、蒼火にすり寄る夜霧の頭を撫でていた
「それで、夜霧を捕まえて私を探したかったのか聞きましょうか?」
「火影様の任務だ。」
夜霧が蒼火に任務を持って来ないことは有り得ないが…あるとすれば蒼火がしたくない任務だけ
「それはもしかしませんよね?」
「多分想像通りだと思うぞ」
「夜霧」
逃げの態勢に入った蒼火と蒼火の声にがってんだ!と言うように蒼火の周りを飛び始めた夜霧に黒燈は状態に付いて行けず見守る形を取った
「なっ!まさか」
「それでは、書類整理頑張って下さい」
蒼火がそう最後に言い残し消えた。夜霧はまたベランダの柵に立つと何もなかった様に日向ぼっこを開始する
それをぼんやり見ていた黒燈はまさか、鳥が忍術を使うなんて思っていない訳で頭をフルに回してもフリーズが解けるのに相当な時間を要した
「お前…妖鳥か!!!」
やっと気付いたかと言うようにフンッと鼻を鳴らし黒燈を馬鹿にしたように見た夜霧
妖鳥とは忍術…妖術を使う出来る鳥なのだが、希少でめったに人間の前に現れる事が無い愚か、人の言うことは理解出来ても人の願いを聞くことがないと言われている
「本当にあいつ何者だよ」
今、妖だと言われても驚きそうにないなとポツリと呟き蒼火が消えた場所を見てから夜霧に目を向けた
「お前のご主人様に逃がさねぇて伝えとけ」
それに夜霧は勿論、嫌だねと言うように顔を背けたのにイラッときたが相手は鳥だと自分に言い聞かせ蒼火を探すためドアへと足を向けた
END
あー、何だか微妙な終わりになってしまった…
けれど、二人の絡みが書けて満足ですw
2013.12.28 完成
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