5.バイバイ、大好き
現実とは残酷だと教えられたのは生まれてそう経たないうちに理解した
九尾と言う強力な力をその内に飼っていられたからかもしれない
だから気持ち悪がり……
殺そうとしたのだ
「待てよ!!ナルト!!!」
だからシカマルを一生懸命俺を止めるこの人が好きになれたのかもしれない
きっとシカマルなら“私”を見つけられると思っているから
「バイバイだってばよ」
シカマルを絶対拘束なんてさせないから
だから、一時の別れを黒楊じゃなく、奈良シカマルに…
姿を消した二人にシカマルは呆然としながら今まで二人がいたところを見ていた。
「……ナルト」
ポツリと名を漏らしたシカマルは拳を握り締めた。
「ぜってぇー見つけてやる」
シカマルの瞳は絶望より、希望、光を取り戻していた。
「黒楊、何の様だ?」
翌日総隊長の許可した者しか入れない部屋に黒楊ことシカマルはやって来た
理由は簡単、昨日ナルトを連れに来たのは颯火だ。
「総隊長、うずまきナルトの所在を知っていますよね?」
「聞いてどうする?」
質問に質問で返した颯火は休む事無く書類やら暗部のランク分けやらを手早くやっているため、黒楊を見る事が無かった
「ナルトが何かに巻き込まれてるんだったら助けたいんです」
「馬鹿か。もし、お前みたいなうずまきを思う者が人質になっていれば邪魔なだけだ」
冷たく言い捨てた颯火はやっと黒楊の目を見た。
希望を失わない黒楊のその瞳を見た颯火は内心深く溜め息を吐いた
「忘れろと言われた筈だろ?それに…ナルトはそんな事を望んでいない」
「何でそんな事、総隊長が分かるんですか?」
「さぁな…」
言う気が無い颯火は書類に目線を落とした瞬間、今まで前にいたシカマルが後ろをとった
積み上がっていた書類は床に落ち、両手を片手で押さえつけられ机に伏せる事になり颯火はシカマルを睨んだ
「黒楊…いや、奈良シカマル。辛いなら記憶なんて消してやる。居ない奴の事は忘れろ」
「忘れねぇー。ナルトが例え俺の事を忘れたって忘れてなんてやるか。俺はナルトの事が好きなんだ!忘れるなんてできるか!!」
そこまで想われているなんて思っていなかった。
短い間だったけど恋人でいたシカマルは一度も口癖を使わなかった。
「…馬鹿な奴」
シカマルの言葉を聞いて、無駄に入ってた力が一気に抜けた
「シカマル…お前は俺が今まで何の任務に付いていたか分かるか?」
「分かりません。」
「じゃあ、ヒントをやる。最初はアカデミーに入り二年留年、そしてお前達と一緒の年に卒業、何度か行動を共にした。サスケはああなるのは分かっていたから止めなかったが…表では止めに行った。」
懐かしそうに話す颯火にシカマルはそれが誰を指すか直ぐに分かった。
「…ナルト…なのか?」
手を放したシカマルは颯火が椅子に座り直したのを見ながら確信がまだ持てないからか、颯火に問い掛けた
「ごめんね。俺は…私は隠し事ばっかりで。言いたかったけど怖かったから、拒絶されたらとか考えたら言えなくて」
「超馬鹿…謝ってばっかりじゃねーか」
「だって、私は嘘ばっか…」
「これから知っていけばいい。ナルト、お前の事を教えてくれ」
瞳に涙を溜めてコクリと頷いた颯火は最初に会った時とは違い、ナルトだと認識したからかもしれないが可愛く見えた
「シカマル、これからずっと一緒にいてくれる?」
「あぁ、ナルトがまた俺の前から消えても探し出してやるから安心してろ」
「うん、ありがとう」
大切だと、好きだと言ってくれて
今日からはシカマルの前で偽らなくても良い
だから一番言いたかった言葉を伝えるよ
「シカマル、大好き!」
とびっきりの笑顔と共にあなただけに伝える言葉を…
-END-
あ、あれ!???
何か微妙に終わってしまった…
と、とにかくこれでこのお題が終了しました!!
やっぱりお題は面白いですね〜考えるのに時間を食うのは仕方がないですもんねw
いや、書けて満足です><
ここまで見て下さった方ありがとうございます!
これからも亀より鈍いペースで更新をしていきますので「そう言えばあのサイトあったな…」と言う時に来て下さればきっと小説が一個程増えていると思われます^ ^
2011.7.3 完成
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