君の全部”だけ”が欲しい
パフェ、プリン、ケーキ、チョコレート、苺牛乳─
「…あの、ゆずぽんさん。この甘ったるいメモは何ですか」
『あぁ、それ。』
さっきまで書いてて途中で断念したメモ用紙。そこにはいっぱいの甘い物が書かれていた。
『銀ちゃん、そろそろ誕生日でしょ?何あげようか悩んでて』
そう、万事屋のリーダー。坂田銀時の誕生日に何をあげるか迷っていた。
好きなもの、と考えたら甘い物ばかりが出てきて途中あたし自身が気持ち悪くなって書くのを止めた。
『ジャンプも思いついたけどそんなの自分が真っ先に買うだろうしね、』
「確かに…。まあ、ゆずぽんさんがあげたものなら何でも喜んでくれますよ」
なんて新八くんが言ってくれるから悩んでたけどやっぱり甘い物をあげることにした。
─ 10月10日 誕生日当日
『よし、完成っと。』
目の前に仕上がったのはパフェ。
贅沢にも大きなジョッキに入った甘いモノたちと、小さめのプリンとケーキも上にデコレーションした。
「すごいアル!これきっと銀ちゃんも喜ぶネ!」
『糖尿病のお助けしてるみたいで申し訳ないけどね、』
なんてハハッと笑っていると本日の主役が顔を出した。
「ただいまァー…ってなにこれ、糖分の匂い!」
糖分の匂いがいまいち理解しがたいが、
銀ちゃんは帰るなりリビングまで走って目の前のパフェに目を輝かせる。
『おかえり、銀ちゃん。あと誕生日おめでとう』
「誕生日─っあぁ!今日だっけ、え、じゃーもしかしてー、そのパフェジョッキ…」
ニヤニヤしただらしない顔でよだれを垂らす銀ちゃんを万事屋の皆で笑って迎える。
『もちろん、銀ちゃんのだよ。お誕生日プレゼント』
「ゆずぽんさんの手作りですよ、あ、苺牛乳もあります」
「残ったらあたしが食べてあげるネ」
「お前には一口もやりませんんん!全っ部銀さんのものですゥゥゥ」
ギャーギャー言いながらも美味しそうに食べてくれる銀ちゃんを見て、プレゼント正解だったなとホッとした。
食べ終えて一段落したところで、
新八くんと神楽ちゃんは今晩のご飯をねだりにスナックお登勢へ向かった。
その間、あたしはキレイに食べられたジョッキを洗っていた。
「あ、ゆずぽんありがとな、お前が作ってくれたんだろ」
『うん、やっぱり銀ちゃんには甘いモノだよね!いちばんのプレゼント渡せて良かったよ』
なんてしてやったりの笑顔を浮かべていると銀ちゃんは「バーカ」と吐いてきた。
「俺のいちばん欲しいものは違うモンだよ」
『え、嘘。銀ちゃんがいちばん欲しいのって何だったの?ストレートの髪の毛とか?無理だよそんなの』
「違うゥゥゥ!バカ!この子バカ!」
ジョッキを洗い終え、銀ちゃんの横に座りいちばん欲しいものを聞き出す。
『なになに、すごい気になる、何がほしいの?あ、結野アナフィギュアだ、やーらしぃー』
「違うゥゥ!それ欲しいけど違うゥゥゥ」
欲しいのかいっ。
「銀さんが欲しいのは、」
『欲しいのは?』
ワクワクしながら耳を傾けていると、
ふと銀ちゃんの顔が近くに寄ってきて小さなリップ音が静かな部屋に聞こえた。
『…銀ちゃん、ちゅーしてほしかったの?』
「─が、欲しいの」
『ん?』
小さい声がはっきり聞こえずもう一度聞き返す。
「─、お前の全部"だけ"が欲しい」
『…欲張りね』
「だけっつったろ、それだけでいんだよ」
顔を赤らめる銀ちゃんが、とても愛おしくなって次はあたしからキスをする。
『じゃあ、受け取ってください』
「ハハッ、喜んで」
そのあと何度も何度もキスをして抱きしめた。
『銀ちゃんのキス、甘ったるいや』
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/)) (●) (●) ヽ あとがき
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/ ノ、_ヽノ_ノ ̄)
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L_/\ \(
過去LOGから漁ってきたモノです。坂田さんは甘いものから甘ったるい恋愛を書けるのでいいですね、ちなみにこのパフェジョッキあたし食べたことあります。