25個目の染色体






世間は今日、空を見上げる。

年に一度、再会を果たすふたりの男女のために。


─7月7日 七夕

織り姫様と彦星様は地上にいる人々の願いを叶えてくれる。



「いつまで空見上げてんでィ」
『んー』

屯所の縁側に座り込み空を見上げる。

傍には昼間に書いた短冊が飾られた笹の葉。


そこには名前を書いて無くとも、
誰の短冊かが一目瞭然。


【お妙さんの股が開きますように】
【マヨリーンの抽選人形当たりますように】
【あんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱん】

そして汚い字で書かれた
【土方死ね】
ただの呪いでしかない。



『これで織り姫様と彦星様も夢叶えちゃ、短冊なんてただの黒魔術に格下げだわ』

「久々に会えた男と女だろ、他人の願い叶える前に一発ぶっ込んでるに違いねェ」



……そうだろうけど、口出しすんな。



「そういやお前ェは何て書いたんでさァ、短冊」

『ん?今から飾り付けしようと思って、コレ』


指差す方には大量の短冊たち。

それを見て白い目を向ける総悟。


「……彦星以上の欲求不満ですねィ」

『一切エロいことは書いてないわ!一年中ムラムラしてる奴と一緒にすんなよ』


その短冊の中から何枚か拾い上げ
目を通していく総悟。


【背が伸びますように。(5cm)】
【大きなパフェが食べれますように。】
【非番の日が増えますように。】
【しかも給料が上がりますように。】


「……叶ウトイイネェ」

『棒読みぃぃぃ』


一枚一枚ペラペラと見ていく中、ふと総悟が手を止めた。

「これ、何も書いてねぇじゃねぇか」

『あぁ』


そういえば途中で止めてて最後のひとつを考えていたんだった。

その短冊を受け取り、ペンを持ちながら考える。


書きたいことはほとんど書いた。

残るお願いといえば…、



「あ?」

チラッと顔を見ると面倒くさそうにあたしの大量生産短冊をくくりつけてる総悟。


その奥の空を見上げるとキレイな天の川。


ふと思いついたままに短冊に文字を走らせた。



『でーきた』

「次の戯れ言は何だ?」

『内緒ぉー!これは自分で付けるのだ』


そう言って短冊をくくりつけ終え、
満足げに出来上がった笹の葉に目をやる。


「ばかじゃねーの、俺のが身長高ェから見れるんですぜィ」

『え、あ”あ”ぁぁぁっ!!』



背伸びしながらくくりつけた上の方の短冊をヒョイッと確認した総悟は一瞬目を丸くして驚いた顔をした。


『あ、えーと、んー、…てへっ』

「……お前ェは気ちがいなのか、それとも頭空っぽなのか」



その短冊に書かれた言葉、

【総悟が死ぬ一日前に、私の息を止めてください】


「首締めプレイが好きならいつでもやってやりまさァ」

『あ、違うからね?プレイとかの話じゃないからね?』

右手をあたしの首筋に持ってきたので丁重にお断り。


「じゃあ何でィ、この願い事は」


そう言ってニヤリと笑う総悟に観念して、口を開く。


『総悟が生きる最後の日に、あんたが何をして誰と過ごしてどんな事言ってんのか、空で予想して見てたいの』

「あ?」

『あたしが死んだらどんな顔になるかな、総悟』

「悪趣味だねィ」

『ね、どうなる?』

「俺の最期の日は、お前ェの墓に小便かける、爆笑しながら、ザマァって言いながら」

『最低か!』



そう言うとニヤリと誇らしげに笑う総悟。

『や、褒めてないからね?ね?』

「でもその願いは叶えてやらァ」

『え、どうゆぅ…っんがっ』


総悟の言葉に顔を向けると、振り向いた目の前には総悟の手があってあたしの鼻を摘んだ。

『ふぇ、ひょふぁふぇふぇふぁふぃ(え、ちょ喋れない)』

「ぷ」

『ぷぅんふぅふゃふぇふぇふぉ?!(ぷっじゃねぇよ?!)』


しばらく鼻を摘みながらニヤニヤして、楽しんだのか少しして口を開いた。


「簡単に死なせるつもりはねェよ、けどゆずぽん…お前ェが死ぬときは俺がたたっ斬ってやらァ。少なくとも俺より先には逝けるぜ」

『ふぃふぃふぅぶ(鬼畜ぅぅぅ)』


そろそろ鼻が痛いけど観念してきてさっきほど力は入れない。されるがまま。好きにして状態。


「ま、その日までは護ってやらァ」

そう言って手を離すと、総悟は真っ赤な鼻を見てまた吹き出す。

「おい、ブス、聞いてんのか」

『誰がこんな鼻ブスにしたんだよ、おい』

「今すぐ介錯してやってもいいんだぜィ?」

『すんっっませんでした!』



そう言うと柔らかく笑った総悟は、
鼻に軽く口づけを落とす。

「さ、そろそろ俺の部屋に来なせェ。冷えてきた」

『え?何で総悟の部屋に…』

「彦星もそろそろムラムラし終えただろィ、次は俺の番だ」


そう言って手を引っ張り立ち上がらせてから部屋へ連れていく総悟。



『ドスケベー』

「年に一度くらい良いだろ」

『年中ムラムラが何言ってんだっ、て………あ、』






ふと空を見上げてみると空は少しだけ色を変えたように見えた。

きっともう織り姫様と彦星様は離れ離れになってしまったかもしれない。




『誕生日、おめでとう。総悟』














バンバンバンバンバンバンバン
バン  あとがき バンバン
バン (∩`・ω・)  バンバン
 _/_ミつ/ ̄ ̄ ̄/
   \/___/ ̄

歌詞イメージ小説デスタ。
なんか沖田はデレデレキャラがかきにくいためツン照れキャラになりました。鬼畜で苛めてくる総悟たんが大好きなので。←







「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -