※飲酒場面がございますが、決して推奨しているわけではございません。
飲酒は二十歳から、でお願いします。








「あけましておめでとー、瀬織」


時計の短い針と長い針がちょうど12のところへ移動した。

テーブルの上には年越しそばが2つと、俺が悪ふざけで買ってきた酒があった。



「おめでとうございます、皐月」


瀬織はそう言うと、目の前にあった年越しそばを啜った。


「おいしー?」

「はい、おいしいですよ?」



瀬織は嬉しそうに笑って見せた。
そんな瀬織を見て嬉しくなった俺は、悪ふざけで買った酒を一口飲んだ。




「よかったー、瀬織の口に合ったみたいで…って瀬織?どうしたのー?」

「……お酒っておいしいんですか?」

「…は?」



瀬織の真剣な顔と言葉に思わず驚きの声が零れた。




「瀬織って、飲んだことないの?」

「はい。お祖父様が何故か飲ませてくれないんです。未成年ですから仕方ないのは分かりますが……。」



瀬織の話しによると、どうやら瀬織は甘酒も飲んだことがないらしかった。


彩果様って以外と頭硬かったんだなーと、最近会った葉塚の元当主の顔を頭に思い浮かべた。


そしてふと頭によい考えが過り、俺は酒を持ったまま立ち上がり、瀬織の隣に座った。



「ねぇ瀬織ー?少しだけ酒飲んでみない?」

「え?」


瀬織は珍しく目を丸くした。瀬織はしばらく考えた後、首を縦に振った。


「ここにはあの煩い人はいませんし、ぜひ飲んでみたいです。」

「ふ〜ん?わかったよ。」



よし、きた。

俺は酒を口に含むと、そのまま瀬織の顔をこちらに向かせ、瀬織が抵抗する前に目の前にある唇に噛みつくようにキスをした。

所謂、口移しってヤツ。



「ふ、ん……ぅ!」


くぐもった瀬織の声に煽られながらも俺は滅多に出来ない瀬織とのキスを楽しみながら口腔へと酒を送り込む。




「っ…は、ぁ…」

「……、どうだった?初めての味は?」


口を離すと瀬織の口の端からは飲みきれなかった酒が垂れていた。
俺はそれを舐めとると、瀬織の顔を見た。


怒ってるかなー、と不安になって見た瀬織の顔に俺は驚いた。




「せ…、おり?」

「ん…」



え?
目がすごく虚ろなんですけど。

え…、え?
まさか……


「瀬織、まさか酔っちゃった感じー…?」


……あの量で?

苦笑いしながら瀬織に問いかけてみると瀬織はこちらに視線を向けた。

あ、やっとこっち見てくれたなと思っていると瀬織は口を開いた。



「……っと、」

「……え?」

「も…っと」

「………………」


そう言って首に腕を絡ませ妖しく笑う瀬織。



…誰?この子、誰ー?

俺の瀬織はもっとこうツンツンしてて、デレる(?)ことなんて1年に1回あっていいか分からないほどなのに。


俺の頭が色んなことでぐるぐるしているところに、さらに追い討ちがかかった。



「…皐月……くれない、んですか…?」


そうやって首を傾げてくる瀬織にとうとう俺の理性は切れてー………








『……つ、き』




……んー?


あれれ?そんな…まさか……



「皐月、起きなさい!」

「いったー!!」


次の瞬間、頭に衝撃が走り俺はハッと目を覚ました。



「まったく…、こんなところでいつまでも寝てないで下さい。邪魔です。」


そう言い、床に転がる俺を見下ろす瀬織は深いため息をついた。




「……えー、まさかの夢?」

「なんのことです?まったく、床に転がってないではやく座るか立つかどちらかにしなさい。」



そう言い瀬織は自身の部屋のほうへと向かっていった。



「…あーあ、もうちょっとだったのにー。」


そう呟いた俺に気が付いたのか付いていないのか分からないけれど、瀬織はこちらを振り返った。



なんだろー?




「……皐月」

「なにー?」

「今年もよろしくお願いしますね?」



そう言って満面の笑みを見せてくれた瀬織のせいで、俺がトイレに走ったことはバレていませんよーに。




おわり


―――――――――――



いつも以上にグダグダですみません!

改めて、あけましておめでとうございます。



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