ダメって言われたらやっちゃうのが人間だよね?(やらないでください)
授業中、日常的に俺は瀬織の観察している。
瀬織の綺麗な黒髪が、窓から入ってくる風に吹かれ揺らめいている。
細い指は銀のシャーペンを持っており、常に動いていた。
あぁ、今日も瀬織は真面目だなぁとか思いながらいつも過ごすのに。
………今日は違った。
「教科書62ページの例を利用して、今から書く問題を解け!いいな?」
そう言いながら問題を書き始める数学教師。
いつもクールなソイツだけど、教えるのはまぁまぁいいほうかな?
でも、俺はいつもそんなこと面倒臭くてしないから瀬織を観察してるよー?
俺の目線の先にいる瀬織は真面目に解いてるみたいだけどねー。
あ、瀬織が消しゴム落とした。
拾ってあげたいのに、なぁー。と思いながら瀬織の消しゴムを見つめていると、誰かの手が瀬織の消しゴムに触れた。
ん?
誰の手ー?
「桜親、消しゴム落ちてたぞ。」
「あ、先生……。ありがとうございます。」
……………何それ。
消しゴムを拾った数学教師に瀬織がお礼を言った。
「…クス…、あんまり頑張りすぎるなよ?桜親」
数学教師は瀬織の頭をくしゃりと撫で、微笑んだ。
はー?何、あいつ。
瀬織に軽々しく触れるなんて。
俺が触れたら、いつも叩き落とされるのに。
瀬織は、俺のなのにねー。
「身の程しらず、だなー…」
答えが気になるのか、他の生徒たちが騒ぎ始めた中、俺は呟いた。
キーンコーンー…
授業の終わりを知らせるチャイムが鳴り、起立して礼をすませた後、俺は瀬織に駆け寄った。
「瀬織ー、あのさぁ」
「皐月?」
チラッと、まだ数学教師がいることを確認すると、
チュッ
「は…?」
頬に軽くキスした。
「キャー!!」
「皐月様が平凡に!!」
「平凡、死ねよ!!」
今、瀬織を平凡呼ばわりしたヤツ後で始末しよー。
そんなことを思いながら、数学教師を見てみると、コチラを見ながら呆けていた。
お前に付け入る隙なんかないから。と、口パクで言えば、数学教師はハッとしたように、教室から急いで出ていった。
ざまーみろ。
「……皐月、何てことしてくれたんですか。」
「…うん?虫除けー。よかったね、瀬織。これで大丈夫ー。」
「やめて下さい。……反対に命が狙われます。」
苦笑しつつ、腹の中では睨んでいるだろう瀬織の頭を軽く撫でる。
「……無理かなー?だって瀬織、
ダメって言われたらやっちゃうのが人間だよね?
(やらないでください)
(じゃー、少し我慢するかなー…)
end...