それでも想いは届かない



「月子」


彼の唇は、彼女の名前をいとおしそうに呼ぶ。
そのたびに、胸が苦しいくらい締め付けられる。

ああ、気分が悪い。


「すみません、会長。
 少し、外の空気吸ってきます」


私はそう一言告げると、
生徒会室から、屋上庭園へ行った。


「っはぁ……」


会長が好きだと気付い他のと同時に、
会長は月子が好きなのだと知った。

私と月子なら、誰だって月子を選ぶよね…。

ふぅとため息を吐いたのと同時に、
扉が開かれた。


「なまえ」

「会長?!」

「やっぱりここにいたのか」

「…別に、どこだっていいじゃないですか…」

「いーや、だめだ」

「なんでですか」


会長は、鋭い。

私の気持ちに気が付かないくせに。


「なまえがそんなにも泣きそうな顔してるのに、
 ほっとけってか?」

「…え?」

「何があったかしらねーが、一人で抱えこまずに、
 俺達にも頼るんだ」


会長はそう言うと、
私の頭を撫でた。

全部、あなたのせいでしょ。
私が今にも泣きそうなことに
気が付いているのに。


「会長」

「なんだ?」

「好きです」


もう、どうだっていいいや。

私は会長の目を見ていった。

ねぇ、本当に、好きなんだよ?


「…俺も、なまえの事が好きだ」


そう、言うと思った。

そしてそのあとの言葉はきっと、


「いい後輩としてな」


私をどん底に落とすのだろう。



それでも想いは届かない

(こんなにも、想っているのに)
(こんなにも、大好きなのに)



((あなたが見ているのは、別の人))


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