さよならまであと3秒


色々な人がいる駅のホーム。
私の探してる人は直ぐに見つかった。
皆に囲まれて先輩方の言葉に少し困ったように笑ってる。
声をかけようとゆっくり近づく。


「あ、なまえちゃん!」


私に気付いたのか、手を振りながら微笑むのは月子先輩。
月子先輩の声に他の皆も私に気付く。


「なまえも来たんだ」

「梓君にはお世話になったしね。」


梓君の言葉に頷く。
それから、梓君や翼君達と色々な事を話した。
時間が過ぎるのはあっという間で…


「そろそろ、行かなきゃ。」

「っ……そうだね…。」


梓君の背後に見える電車。
これに乗って梓は空港へ行き、飛行機でアメリカへと行ってしまう。

ずっと、ずっと、梓君が好きで…

ずっと、ずっと、好きだなんて言えなくて…


「梓ー」


先に電車に乗った翼君の声が聞こえる。

あぁ、もうお別れなんだ…。

泣きたくなるのを必死で堪える。
もう、会えないかもしれないから…
最後は涙じゃなくて笑顔を見せたい。


「いってらっしゃい、梓君」

「いってきます」


梓君が電車に乗り込む。


「っ……待って!」


とっさに、電車に乗った梓君の服の裾を掴んだ。


「なまえ…?」


不思議そうな顔で私を見る梓君。

伝えなきゃ、この気持ち…

今伝えなかったら、きっと後悔する。

手を離し真っ直ぐに梓君の目を見る。


「一つ、言い忘れたことがあるの。」

声が震える。
でも、伝えなきゃ。


「私、梓君のこと……」



発車を知らせるベルが、どこか遠く聞こえた。




さよならまであと3秒


(かき消された、私の想い)





▼雪夜熾音さまよりコメント
これは切ないっていうのだろうか…
こんな文章ですみません!
素敵な企画に参加させていただけて嬉しいです!
ありがとうございました!
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