バレンタイン






「待てコラ!今すぐ止まらないとどうなるか分かってんだろうなあぁぁぁ!?」

『そんな事言われたら余計に止まれる訳ないでしょぉぉぉっ!!』






本日、2月14日バレンタイン。


何故か私、鬼の形相なツナに追い掛けられてます。








昼休み、彼氏であるツナと山本、獄寺にチョコを渡した。


ら、ツナから黒オーラが立ち上ったのだ。



「ねぇなまえ…」


『なぁに?』


「なんで俺へのチョコがチ○ルチョコな訳?」


『えっ………えへ☆』




だって仕方ないじゃないか。
どうしても欲しい靴買ったらチョコ買う予算が無くなったんだもん。

そんな時、強い味方なのがチ○ルチョコだ。

安いし、いろんな味があって楽しいし。




誤魔化すようにへらっと笑えば、ツナの黒オーラが増した。


怖い怖い怖いーっ



『でもねでもね、確かにチ○ルだけどツナのはちゃんと特別なの!』


「特別?」


『そう!山本や獄寺のは10円チ○ルだけど、ツナにあげたのは20円のなんだからっ』



えっへんと胸をはったら、ツナがゆらりと椅子から立ち上がった。

言い知れない恐ろしさに思わず足が後ずさる。



『え…と……ツナ?』


「まぁチョコなんて所詮形だけのもんだしな」


『そ、そうだよね!私とツナはもう付き合ってるんだし』


「だからチョコの代わりになまえを食べる事にするよ」


『 え 』



にっこりと、一見爽やかに見える黒い笑みを浮かべたツナに嫌な予感しかしない。


身の危険を感じた私は、脱兎の如くその場から逃げ出したのでした。





(神妙にお縄に付きやがれ!)
(何者!?うわぁぁん誰か助けてぇぇぇ…っ!!)






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