赤司

原作第113Qその後赤司


「ったくお前なぁ……フツー人のハサミ借りて前髪切るか?」

呆れた目で赤司を見やるなまえに、赤司は勢い込んで言葉を発した。

「し、仕方ないじゃないかっ……! 僕の格を知らしめておかないと後々面倒なことになるんだっ……! 全てに勝つ僕は全てに正しくないといけないんだ……! 舐められるなんて以ての外なんだ」
「気張りすぎだろ。もっと楽になれって」
「駄目だ! なまえには分からない……」

そう言って俯くくせに泣きそうな顔でちらちらと伺われるものだから堪らない。

「前髪……絶対変だと思われた……」
「大丈夫だって」
「みんな気を使って何も言わなかっただけなんだ……。どうせ『何こいつ、大丈夫なの病んでるの?』とか思ったに決まってるんだ……」
「赤司、」
「きっとなまえも僕のことが嫌いになるんだ。僕が変なことしたから……。面倒だからって嫌になるんだ僕のこと……。僕だって、好きでこんなキャラやってるわけじゃないのに。父さんが赤司家なら全てに勝利しなければならないと言うから、頑張ってるのに。高校でちょっとふざけて俺様キャラに挑戦してみたらみんな本気に受け取って今更キャラ変えるなんて怖くてできないし。テツヤにも謝らなきゃいけないのに全然うまくいかないし……! 誠凛の彼にも悪いことをしてしまった。普通に言えば良かったんだ。『悪いけれど席を外してくれるかな?』って。なのに、なのに僕は……。火神にだって本当はあんなことをするつもりじゃなかったんだ。避けてくれて本当にほっとしたんだ。顔色が青ざめるのを我慢することに必死で謝ることもできなかったけど、でもっ……。やっぱり僕は駄目なんだ。僕なんか……」

ネガティブ思考にどんどん嵌っていく赤司の頭を撫でると彼はぐずぐずとしょぼくれたままきゅう、となまえに抱きつく。

「なまえ……うぅ……」
「泣くなよ赤司。もう高校生だろ」
「嫌だ……嫌いにならないで……」
「ならないよ」
「ほんと……?」
「ほんとほんと」
「っ……なまえ……」

この下りを何度繰り返したかはもう覚えていないが、自分の名前を呼びながら抱きつかれるのは正直可愛くて嬉しいので遠い目をして放置する。啜り泣きがそこそこ収まった頃合いを見計らって赤司の涙を拭うとできるだけ優しい笑顔を向ける。

「髪整えようか。洗面所行こう」

赤司は素直にこくりと頷いた。


20141103 end.


マイナス思考ネガティブ赤司様が書きたかっただけ。

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