01

「送るのだよ」
「は? え、あ、いやいいよ。別にひとりで帰れるし。それに緑間君ち反対でしょ、方向」
「遅くなっただろう」
「ああまあそうだけど……いきなりどうしたの」
「香坂は連れ去りやすいだろう。世の中には物好きな輩もいるのだよ」
「……それ暗にあたしの背が小っちゃくて胸もないからロリコンに狙われるんじゃないかとか言ってる?」
「………………別にそういう意味じゃないのだよ」
「目ぇ合わせてくれないかな緑間君?」

というようなやり取りを経て、現在緑間と夏目は並んで歩いている。良かれと思って言った筈なのだが、何故か横から殺意が飛んでくるのはどうしたものだろうか。

「緑間君て今何センチ?」
「195だ」
「死ね。そして10センチ分けろ」
「身長を言っただけで何故罵られなければならないのだよ……」

どれだけ身長にコンプレックスを持っているんだ。

「……お前は青峰の所に行くと思っていた」

緑間がそう言うと夏目は表情を暗くして俯いた。朝からずっと聞きたかったことを口にする。

「何故秀徳に来たのだよ」
「……来ない方が良かったみたいな言い方ね」

無理に笑顔を作ってそう言う夏目にため息を吐く。

「論点をすり替えるな。お前のマネージャーとしての能力は評価しているし、いない方が良いなんて思っていない。ただ、秀徳に来る理由があったのかと聞いているのだよ」

夏目は「そんなのっ、」と勢い込んで、それから平静に戻ったかのように足元に目を落とす。

「学力のレベルが合ったのよ。……あと、バスケ強いし、」
「青峰が入ればそう簡単に負けることはないと思うが」
「……それは、」
「要するに青峰から逃げたかっただけだろう」

夏目は下から緑間を睨む。物怖じしない勝気な目を見返して、「まあ、だからといってどうこう言うつもりはないが」と続けた。夏目は毒気を抜かれたように「だったら最初から言わないでよ……」とじとり、と緑間を見て、視線を前に向ける。

「……でもまあ否定しないわ。アイツにはさつきちゃんだって居るし、きっと大丈夫よ」

「っていうか、」そう続けた夏目の表情を見やってびくっと肩が震えた。にたり、というような表現が似合いそうな笑顔で夏目は緑間を見上げる。

「緑間君って意外とあたしのこと評価してくれてるんだーふぅーん」
「なっ、意味が分からないのだよっ」
「えぇー? だってさっきマネージャーとしての能力は評価しているって言ってくれたもーん。夏目ちゃん忘れませんよー?」
「言ってない。あとその気色の悪い笑顔と喋り方を即刻やめろ」
「言った言った。そりゃ緑間君が覚えてないだけー。もーあいっかわらずツンデレなんだからっ」
「ツンデレなどではない!」

思いっきり睨むが、夏目はにやにやしたままで全くダメージを受けていない。
こちらのペースばかり乱されて本当にこいつは気に食わない。

to be contínued.

→後書き

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