▽気になるもの




「なんですか?」


煙管をふかしながら、私をちらりと見る鬼灯様。


その美しい姿に思わず見とれてしまっていたことにハッとして、私は慌てて目をそらす。


『いえ、あの、その…煙管を好きな方って、煙管は美味しいってよく言いますよね?』

「まぁそうですね…気になりますか?」

「え?えっと、確かにちょっと興味ありま…」


言いかけた瞬間、ぐいっと引き寄せられ深く口づけられた。


『んんっ…!』


油断していたせいで、すぐにぬるりと舌が入ってきて、あっという間に自身の舌と絡められる。


『んっ…ふ…っ』


苦しくなって精一杯ぐっと胸を押し返すと、ようやく唇が離された。


「どうです?中々でしょう?」


ニヤリと不適な笑みを浮かべる鬼灯様。


口の中に残った煙管の苦さに、"全然です"と答えると、鬼灯様は不思議そうな表情を浮かべる。


「おかしいですね。あなたなら気に入っていただけると思ったのですが…」


そう言うと鬼灯様は私の顎をとらえ、再び顔を近づけた。


「もう一度試してみましょうか。」

『え、ちょっ、待っ……んっ!』


有無を言わさず再び唇を塞がれ、また口内に煙管特有の苦味が広がった。



END

     

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