『紅覇、何食べてるの?』

「ん?キャラメルだよ〜。」


言いながら、僕はキャラメルの入った箱をなまえに掲げてみせる。


『へぇ〜。おいしそう。』

「なまえも食べる〜?」

『え…いいの?』

「もちろん。」


僕がにっこりと笑えば、なまえも嬉しそうに笑う。


「はい、どうぞ。」

『ありがとう。』


なまえは僕から受け取ったキャラメルを口に含むと、"ん〜っ"と声をあげる。


『甘くておいしいっ!』

「でしょ?」

『うんっ!』


幸せそうな表情を浮かべるなまえに、僕も嬉しくなる。


「ね、なまえ」

『なに?』

「これ、僕に食べさせてくれる?」

『え…!』


途端に真っ赤になるなまえ。


照れているところも愛らしい。


「ね、いいでしょ?」


甘くおねだりすると、なまえは恥ずかしげにこくりとうなずく。

























そこで、彼女にキャラメルを渡そうとした瞬間――


"ちゅ"


唇が重なった。


それに驚いている暇もなく、上唇をペロリと舐められ、口を開くと、口内に入ってくるキャラメルと熱い舌。


それを受けとると、唇が離された。


顔を離した彼女の表情は相変わらず真っ赤であったが、呆然としている僕に首をかしげる。


『あれ…?紅覇、どうしたの?』

「いや…てっきり、"あ〜ん"ってしてくれるんだと思ってたから。」

『え!?』


自身の勘違いに、より一層頬を真っ赤にするなまえに僕はニヤリと口角を上げる。


「いや〜びっくりしたよ〜?なまえにしては大胆な行動取るからさぁ〜。」

『ご、ごめんなさいっ…!』


そう言って恥ずかしさからか逃げようとするなまえの腕を掴む。


「ちょっと〜逃げないでよ〜。僕は怒ってるわけじゃないんだから。むしろ、嬉しかったんだよ〜?だからさ…」


そこまで言ってから、僕はうつ向いている彼女の耳元に唇を寄せる。


「今度は僕からしてあげる。」

『え……』


驚いて顔をあげた彼女の唇に、僕は自身のそれを重ねた。



























そのまま彼女と同じように上唇をペロリと舐めると、うっすらと開かれる。


『んんっ……!』


その隙を逃さず、キャラメルを口内に入れ、それをお互いの舌で溶かしていく。


『んっ……ふっ…ぁ…』


キャラメルが溶けてからも、甘い感覚が心地よくて、舌を吸い上げたり、絡めたりを執拗に繰り返すキスを続ける。


『んんっ…こう…はっ…』


すると、なまえが僕の名前を呼びながら、弱々しく胸を押し返してきた。


そこで渋々唇を離すと、力の抜けたなまえが僕の胸に倒れ込んでくる。


そんな彼女を抱き止めながら、優しく髪を撫でる。


「ふふっ、力抜けちゃうほど気持ちよかったの?」

『なっ……!』

「でもまぁ確かにいつもより甘かったしねぇ〜。おいしかったよ、なまえ。」


"ごちそうさま"と言って、今度は触れるだけのキスを送ると、彼女は恥ずかしそうに視線をそらす。


そんな彼女を見て、たまにはキャラメル味のキスもいいなぁなんて思った。





END


     

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