▽少しの出来心から





"コンコン"


『ジュダルー?いるー?』


ジュダルの恋人であるなまえは、彼の部屋をノックしたが、返答はなかった。


((いないのかな…??))


『ジュダルー?入るよー?』


そう言うと、部屋のドアを開け、なまえは中へと入った。


『ジュダ…』


声を出そうとして、なまえは口をつぐんだ。


そこにはソファの上で気持ち良さそうに眠るジュダルの姿があった。


((寝てるなんて…珍しい…。))


なまえはそんなことを思いながら、そっとジュダルに近づいた。


『ジュダル〜』


なまえは小声で声をかけたが、反応はなかった。


((本当に寝てるんだ…それにしても…))


なまえはジュダルの寝顔をまじまじと見つめ、


『かわいい…』


と小さく呟いた。


((起きてるときはあんなだからあまり分からないけど…ジュダルって綺麗だよね…))


「女の私より綺麗なんて…なんだかちょっと妬けちゃうなぁ…。しかも寝顔はかわいいし…。」


そんなことをぶつぶつ言いながらなまえは毛布を探し、持ってくるとジュダルそっと掛けた。


そしてジュダルに顔を近づけると、頬にそっと口づけた。


そして身を離そうとした瞬間――


"グイッ"


『きゃ…!!!!』


突然腕を引かれ、バランスを崩したなまえはジュダルに覆い被さる形で倒れ込んだ。


「なんだよなまえ…こっちにキスしてくれるんじゃねーの?」


そう言いながらジュダルは自分の唇を指差した。


『ジュ、ジュダル!!起きてたの!?』

「あぁ。」

『いつから!?』

「なまえが部屋の外から俺の名前を呼んだあたりぐらいかな?」

『それって最初からじゃないっ!!!』


なまえは真っ赤になりながら叫ぶように言った。


「んーまぁそんなとこだな」


そう言うとジュダルは楽しそうに笑った。


『なんで寝たふりなんかしたの!』

「お前がどんな反応するかなって思ったんだよ。
ったく…黙って聞いてりゃ綺麗だのかわいいだの好き放題言いやがって…」

『だ、だって…本当にそう思ったから…』

「あのなぁ…そんなこと言われても嬉しくねーんだぞ!それに、かわいいのも綺麗なのもお前だし。」

『え…』

「大体比べる対象が間違ってるだろ。俺は男だ。」

『そんなのは分かってるよ…!!でも、やっぱ綺麗だし、かわいいし…
ていうかこれ、誉め言葉だよ!?』

「…嬉しくねーから今後は言うの禁止。」

『分かったよー…』


なまえは渋々承諾した。


「で、さっきの続きだけど。」

『え?』


きょとんとするなまえにジュダルはにやりと笑うと


「なんでこっちにキスしてくんねーの?」


と、もう一度唇を指差して尋ねた。


『そ、それは…』

「俺はこっちがよかったんだけど。」

『う…』

「なまえ…してくれるよな?」


ジュダルが甘く囁くように言うと、なまえは


『わ、分かったから目、瞑ってっ』


と言った。


「はいはい」


ジュダルが目を閉じたのを確認すると、なまえは唇にそっと口づけた。


『これでいいでしょ』

「だめだ。まだ足りねぇ。」

『え!?ちょっ…んんっ…』


言い終わる前に、ジュダルは強引になまえの唇を塞いだ。


最初は啄むような口づけであったが、なまえが息苦しさに僅かに口を開いた瞬間、
ジュダルは熱い舌先を滑り込ませた。


『んん…あ…ふぁ…っ』


逃れようとするなまえの後頭部を抑えて固定すると、ジュダルは逃げ惑うなまえの舌を追いかけ、絡めとった。


『んん……じゅだ…る…』


そうする内になまえは段々と力が抜けたのか、抵抗せずにジュダルを受け止めた。


そんななまえに満足そうに笑うとジュダルはなまえを下に体勢を変え、さらに深く口づけた。


『ぁ…んん…ふ…あ…』


何度も角度を変え、口づけを繰り返すとくちゅ、ちゅ…と水音が漏れた。


そしてなまえがジュダルの服を掴むと、ジュダルは最後に唇を舐め、ようやく身を放した。


「んっ…満足!」


嬉しそうに笑うジュダルになまえは


『ばかっ』


と悪態をつき、もう絶対にジュダルが寝ているときには何もしないと誓うのであった。



END

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