▽小さないたずら
「あ」
『なに?どうしたの?』
突然声をあげたまこちゃんにそう尋ねれば、彼は片目を押さえた。
「ごめん。なんか、目にごみが入ったみたい。ちょっと見てくれる?」
『え!大丈夫!?』
背の高いまこちゃんに少ししゃがんでもらって、私は急いで彼の目を覗き込む。
見たところ、まこちゃんの言うごみらしきものは見当たらない。
それを伝えようとしたら――
「ごめん、嘘。」
『へ……』
目を閉じる間もなくまこちゃんの顔が近づいて、唇が重なった。
不意打ちのキスに呆然とする私を見て、まこちゃんはいたずらな笑みを浮かべる。
「ははっ、引っかかった。」
にこにこと楽しげに笑う彼に、私の頬が赤くなったことは言うまでもない。
END
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