The Forbidden Love | ナノ


 ▼新たなる仲間






『あはは、蘭ちゃんと蓮くんが?』

「そうなんだよ〜。ほんと大変だったぁ〜。」


いつものように3人で学校に着くと、校門で息を切らした渚がいた。


「何やってるんだ?」

『大丈夫?渚くん。』

「あ…ハルちゃん、まこちゃん、薫ちゃん…ん?」


渚がちらりと横に視線を移すと、1人の男子生徒が近づいてきた。


「あ、怜ちゃん!」


怜は近くまで歩み寄って来ると、遙を見た。


「あなたがハルちゃんさんですね。」

「ちゃん付けの上にさん付けはやめろ。」


むっとしたように返す遙をまぁまぁ、と薫が宥める。


「どうかしたの?」

「仮入部でよければその合同練習に行ってあげてもいいです。」

「え!?本当!?」


怜の言葉に渚は表情を輝かせる。


「ただし…条件があります。」


そう言うと、怜は片手でメガネをくいっと上げ、渚を見た。


「僕は泳ぎません。」


そう宣言した怜を連れて、遙たちは鮫柄へとやって来た。


『わぁ〜やっぱり広いね〜!!』

「うん!屋内いいなぁ〜!!」


薫と渚が目を輝かせていると、鮫柄の部長である御子柴がやって来た。


「やぁ。よく来てくれたね。」

「「「『よろしくお願いします!!』」」」

「あぁ。」


すると御子柴は遙に視線を移した。


「君、七瀬くんだろ。小学校時代、県の大会で何度か優勝してるよね。」

「まぁ…。」


((やっぱりハルくんはすごいんだなぁ…。))


そんなことを思っていると、凛の姿を見つけた江が彼に駆け寄った。


「お兄ちゃん!」

「江、何余計なことやってんだ…!」


少し不機嫌そうな凛に今度は渚が駆け寄る。


「凛ちゃーん!!また一緒に泳げるね!今日はよろしくね!」

「一緒に?ハッ…お前たちじゃ相手になんねぇ。」


そう言った凛は、遙の隣にいる薫をちらりと見た。


それに気づいた薫も凛を見る。


視線が交わったのは、ほんの数秒ほど。


けれど、2人には長く感じられた。


「……チッ」


凛は小さく舌打ちすると、その場を去って行った。


「何なんですか?あれ。」

「まぁ、色々あってね…。」


怜の質問に、真琴は言葉を濁した。





































「泳がないって約束だったはずじゃないですか…!」


無理やり水着に着替えさせられ、タイムトライアルに参加することになった怜は腕を組みながら眉をひそめる。


「大丈夫。タイムトライアルって言っても練習だし、ちょっとくらい遅くても平気だから。」

「だから!そういう問題じゃなくて!」

「あ、まこちゃん泳ぐよ。」

「聞いてるんですか!?」

『えっと…ごめんね、竜ヶ崎くん。無理やり参加させちゃって…。』

「え!?あ、あぁ、えっと、まぁ…別に。」


(この女性…なんて美しいんだ…!!)


『竜ヶ崎くん?どうしたの?』

「あ、いえ、何でもないです!!」

『?』


不思議そうに首をかしげつつも、薫は泳ぐ真琴に視線を移した。


((やっぱりまこちゃんの泳ぎは力強いなぁ〜。))


『あ、まこちゃん、お帰り。』

「ただいま。次、竜ヶ崎くんの番だよ。」

「えぇっ!!だから僕は…」

「おい次!!早くスタート台に行け!」

「!!」

「まぁ、ここまで来たらさ。」


真琴に言われ、怜はため息をつく。


「分かりましたよ!」


叫ぶように言うと、怜は渋々スタート台へと向かった。


「位置について。よーい…」


みんなが見守る中、ピッという笛の合図で怜はプールに飛び込んだ。


かと思われたが、そのままプールと平行に大きな音を立てて落ちた。


「「「『えぇ〜っっ!!!』」」」


あまりに衝撃的な出来事にみんなが声を上げる中、怜は沈んだまま浮いてこなかった。


「あ、あれ…?浮いてこないね…。」

『ハ、ハルくん…っ!!』

「分かってる…!」


そう言うと、遙はプールに飛び込み、それを見た渚ももう一度潜った。


「ぷはっ!げほっ、げほっ」


2人に両脇から支えられ上がって来た怜に薫たちはほっと安堵した。












































プールから上がって来た怜はすっかり落ち込み、頭にタオルを被ったまま体育座りで縮こまっていた。


「ていうか怜ちゃん…泳げなかったんだ…。」

「そうだよ…悪いですか!?だから僕は泳がないって言ったんだ!!」

「それなら最初に言ってくれればよかったのに…。」

「言えるわけないでしょ…。カナヅチだなんて…僕の美意識に反する…!」

「怜ちゃん…。」


うつむく怜に真琴はそっと声をかける。


「鮫柄には俺の方からうまく言っておくから。無理言って悪かったな。」

『あ…ハルくん、泳ぐよ。』


薫の言葉にスタート台に視線を移すと、遙が立っていた。


「位置について。よーい…」


笛の合図と共に飛び込んだ遙を見て、怜は目を見開いた。


「やっぱりキレイだね!!」

『うん!』

「どうかした?」


立ちあがった怜に真琴が尋ねると、いえ、何というか…と言いながら遙を見つめている。


そんな怜に微笑むと、渚は彼の顔を覗き込んだ。


「ね?だから言ったでしょ。ハルちゃんの泳ぎ、すごいって。」


にっこり笑う渚に薫も微笑みながら、遙を見つめる。


((キレイだなぁ…。ん?))


ふと、視線を上げれば上から凛も遙を見ていた。


((凛ちゃんは…やっぱりハルくんのこと気になるんだな…。))


そんなことを考えながら、薫はもう一度遙に視線を移す。


視線の先で泳ぐ遙はイルカのように美しかった。








































翌日も渚に連れられ、遙たちは陸上部へとやって来た。


「まだ諦めないのか〜?」

「もちろん!でも…なんか、怜ちゃん…すっきりした顔してるよね。」

『確かに、言われてみればそうかも。』


そんな中、怜はこの間と同じように美しいフォームで飛んだ…と思いきや、空中で両手足を広げた。


「「「『えぇ〜〜っ!!!』」」」


呆然と見ていると、落ちてきた怜は立ち上がり、こちらへと歩み寄って来た。


「え!?こっちに来るよ…?」


怜は遙の前までやって来ると、口を開いた。


「僕も…七瀬先輩のようになりたい。」

「どういう意味…?」

「あんな風に、自由に。」

「自由じゃない。」

「え?」


不思議そうな怜と同様に、薫たちも遙を見つめる。


「フリー。」


言いなおした遙に彼らしいと薫は小さく笑う。


「フ、フリー…。と、とにかく、正式に水泳部に…」


そこまで言うと、怜は大きく息を吸い込みバッと頭を下げた。


「入れてください!」

「えぇ!本当に!?」

「…泳ぎたい奴は泳げばいい。」

「じゃ、決まりだね!」

『これで4人そろったね!』

「はい!」


みんなが喜ぶ中、怜はでも、と続けた。


「一番最初に僕を誘ったのは君なんですから、ちゃんと責任取ってくださいよ。…渚、くん…。」


恥ずかしそうに言う怜に渚はぱぁっと表情を輝かせる。


「うんっ!!任っせといてー!!」


嬉しそうに怜に抱きつく渚を見て、他の4人も微笑んだのだった。




To be continued…


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