休憩室。
いつものように佐藤が背凭れに寄っ掛かりながらタバコを口にくわえる。カチリ、とライターで火を点けてタバコに手を添えながら目を閉じる。


「…色っぽい…」


相馬がポツリと呟いた。
口をついて出た言葉に自分で驚く。思わず口を手のひらで隠して、小さく息を潜めるように目の前に座ってタバコを吸う佐藤に目をやる。


「………」
聞かれていないだろうか。

じっと様子を窺う。タバコが唇から離れゆっくりと息を吐く。
緩慢な動きでもう一度フィルターを湿らすようにタバコをくわえる。
一度意識して様子を観察すればするほど、一つ一つの動作に見入ってしまう。
佐藤がタバコを吸う姿は本当に色っぽい。思わず思い出してしまう。
情事後に紫煙を燻らせ、相馬の視線に気づいた佐藤がタバコを唇から離して近付き、舌を出して…


「おま、また…ッッ」


ガタ、と佐藤が立ち上がり揺らされた机の音に思わず相馬のビクリと身体が震える。
「え、佐藤くん、なに」
もしかして聞こえちゃった?
「何の話だ」
「…いや、べつに…じゃ、どうしたの」
「いや、なんでもねえ」
誤魔化すようにタバコを灰皿に押し付けながら口ごもる佐藤に相馬は首を傾げた。



プリーズプリーズ
(相馬の野郎、いっつも物欲しげなえっろい顔しやがって…!!)









お互いの仕草にドキドキ。
そしてその雰囲気で休憩室がエアー封鎖されて入れない。






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