※美しい日々な臨也⇒日々也
※サイケデリックな静雄⇒デリック




聖なる夜。

「明日はクリスマス、らしいな…皆でクリスマスパーティやるってイザヤが言ってた」

腕を組んで澄ました顔で、さも興味無さそうに日々也が呟いた。

「俺たちにとって、クリスマスって初めてだしな」
「そうな…いや、別に」

別に俺はやりたいなんて言ってない。楽しみじゃない。という姿勢を崩さない日々也にデリックがくすりと小さく笑む。
隠しきれていない期待感が愛しくて、思わず撫でてしまいたいと手を伸ばし掛けた。

「なに?」
「別に……なんでもねえけど?」

急に日々也の閉じられていた瞳一杯にデリックが映し出される。伸ばされていた手が行き場を失い、そのまま頬を掻いた。

「変なリック」

デリックの名前をリック、という愛称で親しげに呼ぶのはデリックの知る限り日々也だけだ。
くすぐったく感じるその呼び名に口角が上がる。
少しは好かれていると自信を持って良いだろうか。


「日々也」
「……」
「…日々也」
「……」

何度か名前を呼んでも反応が得られず、首を傾げれば日々也が唇の動きだけで不満を伝える。


『な ま え』


声が出ずとも意図が解る自分に苦笑してしまうが、同時に誇らしくも思う。


「ひー」


小さく囁くように呼べば、満足そうに日々也が微笑んだ。
向けられた笑みに、胸の中に相反する二つの気持ちが浮かぶ。企むように手招きしつつ問う。

「ひー、イヴの予定は?」
「イヴ?」

口に出してから今日のことか、と日々也が思案して至る。

「俺、あんたと過ごしたいんだけどな?」
「?」

デリックの意図が解らずに日々也は首を傾げた。


「俺は元よりお前と過ごすつもりだったんだが?」


現に今、二人で居るじゃないか。
日々也の言葉に思いがけず、デリックの頬に朱色が差した。

「リック?」
「…反則だろ」

ガシガシと照れ隠しに勢い任せに頭を掻く。
イヴに共に過ごす意味を深いこと考えてないだろうことは分かっている。それでも喜ばずには居られない。
大事すぎて簡単に触れることの出来ない日々也という王子様。少し世間知らずなところがあるがいつだって、日々也のペースに載せられっぱなしだ。

デリックは、恭しく日々也の前に跪きながら、そろりと手を引いて手の甲に唇を寄せた。




「俺にエスコートさせてくれな」
どこまでも。
いつまでも。






夢見がちな彼に最大級の夢を
(お前が連れていってくれるのなら)









他の人にはガンガン行けるけど本命には奥手なデリック。日々也は確信犯でも鈍くても良いんですが、箱入りっぽくー…女王様とか!
日々也もデリックも模索中。でも、二人だけの呼び名があったらかわいいなぁ、と。

…クリスマス前に書いてたらしいですよ(笑)



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