確信が欲しい。
確かな証拠が無い事は安心が出来ない。



(…こわい)



サイケはぼんやりと流しっぱなしにしていたMP3プレイヤーを手の上で弄りながら此処には居ない臨也と静雄を思う。


(いざやクンとしずちゃんは、いいなぁ)


「……サイ、ケ…っ?」


不意に津軽の声が耳に飛び込んできて、自分の状況を思い出した。
意識が現実に引き戻され、視界がクリアになる。眼前には汗ばみつつも心配そうにサイケを覗き込んでいる津軽の姿が映った。


(やってたんだった)


状況を意識すれば、途端に身体中を慣れた快感が突き抜けた。
体内に挿れられた熱い熱を全身で感じて震える。


「…んぁっ…っ」


自分自身の快感の滲む声を聞きたくなくて、サイケはプレイヤーの音量を上げる。そして、津軽の眉間に僅かに皺が寄るのを見て見ぬ振りをしながら、ゆっくりと目を細めて掌を津軽の伸ばした。

口許に当てられた手。


「か、ん、で」


肩で息をしながら、一文字ずつゆっくりと呟く。
傷が付かないようにいつも丁寧に抱く津軽には厳しい要求なのは把握している。キスマークさえも付けるのを躊躇う彼だからこそ、サイケは"証"が欲しかった。

いつも不安だった。


津軽とサイケは、静雄と臨也に造形が似ている。言葉遣いは違えど、意識傾向・行動原動力も似通っている。津軽とサイケには、確立されたアイデンティティーがあるのか。

ただの"模造品"でしか、ないのではないか。


「…サイケ」


少し困ったように名前を呼んでから、ゆっくりとサイケの唇にリップ音だけの口付けを落とす。


「おれ、こまらせてる、よね…?」
「…少しな」


津軽の言葉に傷付いたように目を伏せようとすれば、サイケの頬に手が添えられて動作を遮られる。視線を交わらせてゆっくり口を開いた。


「誤解するな」


そう言った彼の表情は穏やかで優しい。


「俺の表現が拙いのに、"困る"んだ」
「え?」
「俺がサイケの不安を拭いきれないのが…悲しい。どうやれば良いか解らないから"困る"」
「…つがる…」
「でも、その"困る"ってことは俺自身で考えてること。静雄でも臨也でもないから、少し、嬉しい」


辿々しく普段多くは語らない彼の紡ぐ言葉が心地良い。優しい、優しい彼も抱えていた不安。
サイケは津軽の頭を引き寄せて互いの額を合わせる。顔が近過ぎて焦点が合わないが、吐息が混じる。
穏やかな感覚。


「でもね、たまには、いいでしょ」


小悪魔のようにペロリと舌を出して左手の薬指を津軽の口に突っ込む。

「かまないと、いかせてあげない」

サイケの中にあるものを締め付けて、したり顔で言った。









君との未来が欲しいから痕を
(薬指に指輪のように残る噛み後は幸せの証)
「また、きえたら、ねっ?」
「…えっ…」













どんだけ証や印ネタを書くのかww
久々に津サイです。
…そもそも久々に小説(もどき)書いてる…
これからもゆるりとお付き合い下されば幸いです。



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