※サイケデリック臨也⇒サイケ、サイケデリック静雄⇒デリックという呼び名です。
※サイケ(兄)、デリック(弟)という設定です。
※パソコンさえ点けてれば自由に実体化できます。
※臨也が開発者です。新羅も手伝ってます。







切れない、揺るがない絆に憧れた。


「いざやくん、デリックとおれってきょうだいなの?」
「そう、兄弟。サイケがお兄ちゃんだからしっかりしなよ」


もう少しで調整が終わるから待って。そう、臨也が笑ってゆっくりサイケの髪を撫でて優しく諭すように言う。


「サイケ、デリックと仲良くやりなよ?いいね、兄弟ってさ」
「……いざやくんも、きょうだいいるじゃない」


サイケの言葉をするりと受け流して、未だ実体化していないパソコン画面上に居るデリックの輪郭を撫でた。そして優しいものを見るように、慈しむように呟く。


「兄弟はね、切っても切れない"絆"がある存在。何があっても最終的に残る支え合える揺るがない"絶対"の"家族"という括り」


そう在って欲しいよね。からからと臨也は歌うように笑った。


「……しずちゃんと、そう、なりたかったの」


臨也の遠くを見るように笑う表情が苦しく感じて、サイケは臨也の頭を自分の胸に押し付けた。


「ゆるがないものが、ほしいんだ?」


サイケはそのまま臨也の頭を、ぎゅう、と力を込めて抱き締める。そうすれば、胸に押し付けられた臨也が居心地悪そうに身動ぎした。


「俺と彼には"殺し合える"揺るがないものがあるよ」
「……」
「でも、」
「……うん、ミたいんだね」
「……」
「ナニをやっても、"きょうだい"っていう"きずな"でユルされる"かんけい"」


臨也は何も答えない。
ただ、サイケの胸に居ながらゆっくりとキーボードを辿るようにしてエンターキーを押した。



「『デリックを起動しますか』だって」
「…サイケ」

珍しく弱々し気に名前を呼ばれて、サイケは思わず肩を竦める。

「……いざやくんって、ほんとさびしがりやだよね」
「…知らない」
「おれたちにジカンかけてるヒマあるなら、しずちゃんとけんかしてきなよ」
「…削除するよ」
「できないくせに」
「生意気」
「もとはいざやくんだからね」


サイケが至極楽しそうに軽やかにエンターキーを押した。すると小気味良い音が響くのと同時に、室内にもう1つ気配が増える。
サイケは胸に閉じ込めていた腕の拘束を緩めて、臨也を解放した。


「…デリック」
「なんでしょーか」
「おれはサイケ。きみの"あにき"だよ、よろしくね」
「…サイケ、兄貴」
「そう。で、このヒトがいざやくん。おれたちのマスター…」

サイケがゆっくりと起動して実体化したばかりのデリックに一つ一つ教えていく。

「臨也、マスター……」

臨也を紹介されたデリックは、サイケから臨也に視線を移動させて両目でとらえる。流れるような動作で、臨也の元に膝をついて掌でを自分の方へと寄せた。

「…マスターの赴くままに」

手の甲にデリックが口付けようとすれば、臨也が素早く後退りする。

「しなくていい」

自分の手を両手で握り締めてから、少し頭を振った。

「俺に触れていいのはアイツだけだから」

きっぱりと言い放った臨也を楽しそうにデリックは眺めながら言う。


「そーですか。俺は大好きなマスターに作って頂いた御礼をしたかっただけですよ」
「……だれ、こいつ」
「いざやくんがツクッたんでしょ、デリックだよ」
「シズちゃんの顔でコレとかアリエナイ…あ、口調とかの設定、新羅やったんだっけ…きもー…」
「いいじゃねえか、敬語プレイも粋だろ」
「「………」」
「おれがイロイロおしえてあげる」
「はーい、サイケ兄さん」

軽いノリで返事をしたデリックに思わず、サイケと臨也は頭を抱えた。

「……あの駄眼鏡……」

拳を震わせる臨也をデリックは勢いよく引き寄せて耳許で囁いた。



「俺が、あんたの、マスターの望みを叶えますから。揺るがないものが有ること証明しますから」


だから静雄に向き合え。
囁かれて臨也はビクリとしながら、ゆっくりとデリックを見れば、企むような無邪気な顔で笑った。



「…君次第」
「はーい」








可能性スタート
(…シズちゃんもあんな顔するのかな…)
(ちくしょ、シズちゃんに会いたい)












ちょっとこの設定で書きたいなって言う序章。
他に書いてた小説吹っ飛ばして先に更新とか←
津軽も日々也も静雄も新羅もゆるゆる出していきたい。














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