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白い生地に大輪の花柄のちょっとシックな浴衣を買った沙和は、「それ脱がしてやる」ってミツルくんの言葉にしっかり突っ込みを入れていた。

すっかり紺色金魚が気に入ったわたしは、超ご機嫌で。


意外にも、ワインレッドのヒマワリ柄を選んだゆきみに拍子抜けしてしまった。

奈々はサーモンピンクの少し濃い感じので大きな百合の花が咲いていて、二人ともすごく綺麗だった。


あまり想いを口にしない感じの拓真とは違って「すっげぇ綺麗」って絶賛していたのは和也くんで、その言葉にゆきみは照れたような顔を浮かべていたものの、それでも視線は拓真にいっていて…「似合ってる」って一言拓真が言うと、パアーっと顔が明るさを増した。


どんなに和也くんがべた褒めしようと、やっぱりゆきみにとっての愛は拓真なんだと思わされた。


和也くんのしていることが無駄だなんて思わないけれど、ほんの少し切なくなってしまうんだ。


その気持ちそのままわたしのものと同じだから…




「ユカリ、大丈夫?」


「心配性だな、沙和ってば」


「だって」


「ありがとう、沙和」




彼氏が不良だからって、沙和もケネンされがちだったみたいで、みんなoneに入りたいってそんな理由で沙和に近付いてくる人が多かったみたい。

わたしも今となっては「NO」とは言えないけれど、沙和に話しかけたのが和也くん目当てなんてことはない。

ミツルくんと付き合っていることも本当に知らなくて…

現に沙和は最初ミツルくんの存在を隠していたから。





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