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「夏祭り?」
「うん、行こうよ一緒に」
沙和がそう言ったのは夏休み直前、一学期終業式の途中だった。
今日はoneでも大型暴走があって、懲りずにわたしは参加する気でいる。
明日の夜、この地域じゃ一番大きな花火大会があった。
そこにoneのみんなは集まるとかで。
「そうだね…」
「ツヨシが会いたいって、ユカリに」
「ツヨシが?この前会ったばっかなのに、変なの」
そう答えたら、沙和は口元に笑いを堪えていて…ちょっと気持ち悪い。
「なに?」
「え?いや…ユカリからしたら“会ったばっか”なのに、ツヨシ的にはそうじゃないんだなぁ〜って」
…は?
一瞬沙和が何を言っているのか分からなかったけど、それは遠まわしに…いやいや、十分近道な答えなんじゃないかって。
でも、そんな甘い感情なんて、今までツヨシがわたしに見せたこともなくて。
「まさか、ツヨシがそれはないでしょう!?」
「どうして?」
「どうしてって…。だってわたしは和也くんが好きだもん」
「でも、表向きユカリはツヨシの彼女だよ?」
「それは、そうみたいだけど…」
何だか、沙和がもっと何かを言いそうだったけど、わたしはあえてそれを遮って違う話題を口にした。
それが良かったのか、悪かったのか…