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この地域じゃ有名なバカ高としてそびえ立つ我がN高は、田舎の奥深くにあって、薄暗い校舎の上にはカラスが何匹もたまっていて、見るからにデそうな学校だった。


ガラの悪い着崩した制服でダラダラと歩く生徒達にわざわざ文句を言う先生なんかいなくて、出席日数さえとっていれば進級卒業が約束されたような悪校に在籍するわたし。


この学園でなければダメな理由はただ一つ…




「和也!」




綺麗なソプラノボイスにだけ反応されるように作られているんだろうか、あの身体は。


授業中は常に机に伏せって眠っている身体をすぐに起こすと、廊下側のドアから顔を覗かせている真っ赤なロングヘアーの女を見て優しく微笑むと、ガタンと椅子を揺らして席を立つ。


ゆっくりと歩くその後ろ姿は、カレを待っている彼女と同じ真っ赤な髪色。


一本の道ができているかの如く、カレと彼女を繋ぐように道を開けるクラスメイト達。





「お昼行こうっ」





そう言って、カレの腕に自分の腕を巻きつける彼女は、ここら一体を仕切っている暴走族チーム【one】のセカンド、拓真の恋人、ゆきみ。

わたし達と一歳違いの、二年生。


拓真の恋人なのに、こうして毎日のように和也くんを迎えに来るゆきみは、そうとう和也くんを気に入っている様子。

そして和也くんの方も、拓真がいるっていうのにゆきみを好きなんだって、誰が見ても分かるくらいに、ゆきみにしか見せない優しい顔をする。


このクラスにいる時は、一言も喋らなければ、あんな風に笑うことなんて有り得ない。

拓真と瓜二つの外見は、ゆきみを意識しているんだって、すぐに分かった。





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