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午後八時ジャスト。
耳をつんざく爆音がいっせいに街道へと動き出した。
暴走族の暴走なんて当たり前に始めてのわたしは、ひたすら臣にしがみついていた。
「ユカリッ!」
しばらく走ると臣の声が聞こえて、少しだけ顔をわたしの方に向けている。
ヘルメットもつけずにバイクに乗るなんて、ママやパパが聞いたら腰を抜かすかもしれない。
そう思うだけで、両親を裏切った気持ちになってしまうのはわたしだけだろうか。
もし、事故でも起こしたら…
「直人さんたちについて行く?」
暴走が始まる前に臣にそう聞かれて…。
直人くん達は特攻入りしたから、今は先頭を走ってみんなを誘導しているとか。
今日は久々に大きな暴走だから、配下のチームも合流したりするみたいで、二手に別れて街道を唸らすとかで…
ケンチくんの方に行くのか、それとも直人くんの方に行くか…
わたしの答えなんて当たり前に直人くんで…。
「たぶん、ケンチさんの道のが安全だと思うから、今日はそっちにしねぇ?」
そう言った臣の言葉を押し切って、直人くんの道を選んだわたし。