運命の人1
運命なんて言葉、久々に生で聞いたかも。
てゆうかそもそも運命なんてそんな簡単に落ちてるもんじゃないよね?
私の指を絡めて遊んでいる哲也さんは、たった今アキラさんがコトっとカウンターに置いた私用?のカクテルを見てニッコリ微笑んだ。
「ここはメニューないんだ。好きなの言えば何でも出してくれるから…」
「すごいですね。これ何のお酒?」
「苺とカシス。可愛らしい御嬢さんに…」
アキラさんがそう言ってくれて恥ずかしながらニンマリしてしまう。
御嬢さんって年じゃないけど、そう言われるのは嬉しい。
ピンク色のカクテル。可愛らしいグラスに入っていて、めちゃくちゃお洒落。
インスタにあげたいぐらい…
って、それやったら哲也さんとここにいることバレちゃう…
まぁ、あの子達はフォローしていないからしらないだろうけど。
スマホを取り出してカシャっと撮影すると、哲也さんが「貸して」そう言って私の手からスマホを取り上げた。
そのままそれをこちらに向けて…「え?」カシャリと取られた!
「ツーショット!これ俺に送って?」
「え、はい…」
「待ち受けにしようっかな〜」
それはだめ!万が一人に見られたら…
「ね、リコちゃん。今度デートして?いつなら逢える?」
なんだか、今日の今日で、さっきの今で、哲也さんって人をよく知らない私はなんというか押され気味で。
確かにかっこよくてスマートで素敵なんだけど、私以外の人にも同じようなことをしているんじゃないかって、思わずにはいられないんだ。
色々哲也さんが話しをしてくれているというのに何も頭に入ってこなかった。
せっかくの楽しい一時なのに、なんでこんな気持ちになっちゃうのよ。
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