甘い一時1
直人さんとファーストキスをして、半分抱かれたって事実はとてつもなく大きかった。
昨日買い物から帰ると健二郎さんが来ていて診察をしていた。
「兄貴、微妙に興奮気味?」
「……え?」
「んー。何か熱以外のもんがある気すんねんけど…」
「ないないない、つーか薬出して。一日で治るよな?」
「いやこんな光熱出てんねんから、明日は休みや?医者として出勤は認められへんわ」
フーフー言いながら健二郎さんの質問に受け答えする直人さんだけど、私とのことがある手前、何となくソワソワ答えていて可愛い。
「そうですよ、花火大会までに治して貰わないと困りますからね!」
だから後ろから私がチャチャを入れると健二郎さんが振り返った。
キョトンとした顔で私を見ている。
「2人で行くん?」
「はい!あ、いや…違います!」
わー。2人きりの秘密にしておきたかったのに、つい嬉しくて言っちゃったよ。
直人さんもちょっとだけ困ったように眉毛を下げているけど…
「隆二には俺から言うから健二郎は黙っといてくれない?」
「ええけど。元カノはもう忘れられたん?兄貴」
「……まぁ」
ちょっと曖昧な返答だったけど気にしない。
直人さんは、私を見てくれるって自信があった。
とりあえず薬を貰って飲ませたらスヤスヤと眠りにつく直人さん。
昼間直人さんと言い合いっぽくなった隆二さんは、明け方帰ってきた。
お酒と煙草と香水の香りがプンプンで、彼女と会っていたのかな?って。
そのまま寝ている隆二さんは、お祭りのテキヤで焼きそばを作るらしく、今日は海の家をお休みしている。
健二郎さんの分の朝ご飯をリビングに用意してから私はお粥を持って直人さんの部屋に入った。
「直人さん、起きれますか?薬飲まなきゃだからお粥作ってきました。食べれます?」
「んーゆきみちゃん?」
「はい!おはようございます」
そう言ってチュッて直人さんの唇にキスをする。
パチッと目を見開いた直人さんは、ふはって笑って「全くエロいんだから!」そう言いながらも私の手首を掴んでベッド脇に座らせた。
横から私の身体を抱いている直人さんの顔が着ていたTシャツの胸元に埋められる。
「直人さんもエロい…。朝のが性欲あるってほんと?」
「……え?なによそれ?」
「前に隆二さんに言われました」
「あいつ。まぁ確かに否めない。けど俺はゆきみちゃん相手だから朝でも夜でも変わらない…」
そう言う直人さんは、私の腕を自分の首の後ろにかけるように誘導して。
ベッドの上、首筋にチュウっと吸い付いたと思ったら顎から耳のラインを舐められて「ンッ」身体が反応する。
あいた手は、しっかりとTシャツの中に入り込んで、ブラの上から胸を揉んでる。
下から何度も耳までを舐める直人さんに「アンッ…」小さく吐息が漏れた。
「シタくなっちゃう直人さん」
「……怖い?」
低い声で耳元で囁く直人さんに首を振る。
私の返事を待ってTシャツをまくりあげようとした瞬間「兄貴、具合どうや?」コンコンって健二郎さんの声と共にドアが開いた。