■ 傷口1
【side 奈々】
パチパチパチ…って消えゆく花火みたいに
一瞬の気持ちだなんて、絶対に思わない。
―――――――――――…
ババババババババ
ヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォ…
あたし達が花火を始めた事で、バイクや車のエンジン音が止められて。
だから遠くから聞こえたその音に、青倉庫にいる全員が入口に目を向けた。
そこにいたのはあの日あたし達が見た光景と同じ。
デジャブみたいに同じ。
数台の大型バイクがチームoneの溜まり場に姿を表した。
チッて哲也くんの舌打ちが聞こえた気がした。
郡を抜くオーラを纏う哲也くんがあたし達の前に立ちはだかっていて。
入って来たバイクのエンジン音が消えると、辺りがシーンと静まり返った。
先頭にいるワタルは、あたしと目が合うと口元に笑みを浮かべた。