■ 根付く恐怖1
各チームの総長達は、どこのチームも威圧的オーラを放っている。
そのトップにいるタカヒロは、とても穏やかな表情をしていて。
それが崩れてしまうのをあたしはいつか見るのかと思うと、それだけで酷く胸が痛んだ。
できればタカヒロには常に冷静で、「大丈夫だ」ってドーンと構えていて貰いたい。
「あ、奈々さん! ご無沙汰してます」
『あ、こんばんは』
タカヒロの隣に座るあたしにそう頭を下げたのは、あの日あたしを保護してくれたsevenの総長さんだった。
見るたびに髪型が変わる彼の今の髪型は、だいぶ前に流行った○ッカムがしていたモヒカンヘアーな黄色い髪だった。
大きな二重が印象的で、どちらかというと可愛いらしい顔の彼は、ヤンキーっぽくないオーラを放っている。
でもそれは、あたしが彼を知っているからで。
最初から彼らはあたしをタカヒロの女って目で見ていたから、間違っても威圧的な視線を送ってくる事がなかったんだ。
あれから何度かあった大きな暴走に顔を出すsevenは、あたしを見つける度にこうやって声をかけてくれる。