■ 再会1


高校二年、冬。


平和が訪れたわたし達に、再び不穏な出来事が舞い降りたのは、あれから約一年半がたった寒い冬の事だった。


ここ最近、妙に忙しそうにしている哲也たち。


わたしや奈々に気付かれない様に、水面下で何かが動いているような感覚だった。


世間一般的にはX’masを迎える12月。


色づき始めた街なみを車とバイクがひた走る。


わたし達は暴走族チーム【one】


白地にゴールドでデカデカとチーム名が描かれたその旗を誇らしく掲げて先導しているのはケンチと直人。


2シーズンを特攻としてやっていけるか研修させられていた二人は、この日ちゃんとした特攻として迎えられた。


今日はそんな二人の、特攻デビューの走りだった。



哲也は車に乗ってその走りを目を光らせて見守っている。


わたしはそんな哲也の隣で、きらびやかに放たれるテイルランプをフルスモークの車の後部座席から静かに眺めていたんだ。



『順調?』



わたしの問いかけに視線を向ける哲也は少しだけ疲れたような表情を見せながらも、わたしの髪をクシャって触って微笑んだ。



「だな」



哲也の言葉にわたしは今日もホッとして青倉庫に戻って行く。



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