■ 言の葉1
【side ゆきみ】
一瞬にしてわたしを笑顔にする
そんな魔法にかかったわたし。
でもそれはやっぱりどこまでも魔法のままなのかもしれないなんて…
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『また明日』そう言って奈々とタカヒロが同じ部屋に入ってく後ろ姿を見送って、わたし達も隣の部屋に入った。
わたしと奈々が一緒にお風呂に入った事に対して、心底悔しがっていたタカヒロの顔を思い出して、思わずプッと笑ってしまう。
そんなわたしの小さな笑いを拾う哲也の目はそう…―――
「なんだよ」
自分の事を笑われたのかと思ってるみたいで、ちょっとだけ不機嫌。
だから何も言わずにただ首を横に振ったんだ。
哲也も何も言わないけど、その顔は不安そうな表情に代わって。
それがまた可笑しい。
さっきの今だから、仕方ないのかもしれないけど、哲也は心配しすぎな気がする。
肝心な時に心配してくれなきゃ何の意味もないんだけど…
でもそんな哲也を可愛く思ってしまうんだ。