俺の彼女1
さっき逢ったばかりなのに
もう、逢いたいなんて…
―――――――――――…
タカヒロくんを見送ってから会社に行ったものの、どうにもこうにも集中力がかけているようで。
PCの画面を見つめる視線はさっきから同じ場所を行ったりきたりしている。
隙あらば壁にかかった時計を見つめて今か今かと待っている。
こんな早くに連絡が来るわけないって分かっているのに、私はどうにも落ち着かなくて。
デスクの上に投げ出された折りたたみ式の携帯電話を何度も開いては確認する作業を繰り返していた。
『ダメだ』
ポツリと出した声に反応するみたいに、デスク上に置いてある携帯電話がブブブ…っと震えた。
思いが通じたかのように喜んで画面を開いた私の目に飛び込んできたのは
【着信 アキラ】
いつもだったら普通に嬉しいんだろうその名前に、失礼ながらガックリしてしまう私がいて…
なんか、重症なくらいタカヒロくんが好きなんだ私…ってちょっと可笑しくなった。
『もしもし?』
【俺。今日何してる?】
声色でアキラの言いたいことが分かる。
だいたいこんな感じの時は私を誘い出すとき。
『会社だけど…』
【あ、仕事中だった?悪いなぁ】
そう言うものの、ちっとも悪いと思っていそうもなくて。
『ちょっと資料作成してただけだから。もう飽きてきたし』
そう言うと、電話越しに笑いを含んだアキラの声が聞こえた。
【飽きたんじゃなくて、タカヒロが気になって集中できないんだろ?】
見透かされた言葉に私は一人その場で顔を赤くする。
『別にそんなんじゃ…ないこともないけど…』
本音を隠す必要もないって、私は素直に気持ちを吐き出したら、分かっているって感じのアキラの笑いに包まれる。
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