優しさor慣れ1
何歳になっても
何度経験しても
この緊張感は終わらない…
―――――――――…
「スッピン?」
まだ濡れた髪のままの私にそう聞くタカヒロくん。
『…たはは、そうです』
「そっちのがいいよ。…てかあんま変わんない気がする?」
マジマジと見られると心拍数があがって、寝るだけだからってブラジャーをつけるかつけまいか迷ったんだけど、外してみた私はそんなことが気になっていて。
決して下がらないタカヒロくんの視線に安心しつつ、ドライヤーを手に「おいで」って言うタカヒロくんに当たり前にドキッてした。
勿論タカヒロくんの髪はもう乾いていて、ふわふわ感が増している。
指差し込みたいなーって思う私はたぶんマヌケ面なんだと思う。
ブオーン!とスイッチを入れたマイナスイオン全開のドライヤーでタカヒロくんが私の髪に触れていて、香るのは二人同じ甘いシャンプーの匂いで、そんなことにも小さな幸せを感じてならない。
「やっぱちょっとデカイね」
私が着てる服の袖をチョイってタカヒロくんが摘んで、そんなつもりじゃないのに私は反射的にビクッてしてしまう。
ノーブラがバレるのが恥ずかしくて、そんなこと思いつつも期待してるからつけてないっていうのに。
初めてのお泊りだし、色々想像するし、お風呂に入ってるうちにそれなりの覚悟も決めてきた私はもう、半分以上タカヒロくんに抱かれるつもりで。
シルバーボックスも使う気満々…までは言わないけど、それに対して今、迷いはなかった。
ただ、迷いと不安は別物で。
不安がないわけではなくて。
「さて、どーする?ユヅキちゃんどうしたい?」
決定権を私に与えてくれるタカヒロくんは、単に優しい紳士なのかそれとも女の扱いに慣れているのか…
『タカヒロくんはどうしたいの?』
決定権を彼に預ける時点で私の気持ちを察して欲しいと思いながらも液晶のリモコンに手を伸ばすと、用意していたみたいにDVDボタンをパッて押した。
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