小さな不安1




暖かいマフラーを見つけた私…


色んな意味でドキドキが


止まらない…


――――――――――…




コンビニ前で止まったタクシーから下りると、私を連れてお店の中に入るタカヒロくん。


「必要なもんあるんだったら?俺雑誌見てるから」


些細な気遣いもちゃんと出来るんだーって感心してる場合じゃなくて!

いそいそと下着やら歯ブラシやらコンタクト液やらを抱え込む私を、絶対に振り返らない紳士なタカヒロくん。

雑誌をパラパラと見ているタカヒロくんの手元にはしっかりとシルバーボックスが握られていて…

物凄く恥ずかしくなる。

別に店員さんだってそんな目で見るなんて事ないと思うけど、やっぱり恥ずかしい。


でも常識としてアレを使ってくれるのは嬉しくも思った。

それに、たまたまキレてただけの事かもしれないけど、久しぶりに買ったかもしれないし。

私の為に久しぶりに買ってくれた、って事にしちゃお。


そう思ったらさっき程の恥じらいは消えてレジで精算している私の後ろから不意にスッて手が伸びて来て、次の瞬間雑誌と珈琲二本とシルバーボックスをさりげなく置くタカヒロくん。


「後、赤マル一箱で会計一緒にして」


…やっぱり恥ずかしい!

そう思う私の背中を押して「先出てていいから」ってちょっと笑いがちに言った。

店員の女の子はタカヒロくんを¨カッコイイ¨って目で見ているみたいで、掴んだシルバーボックスにほんの一瞬体が反応するみたいにピクッてして、それからゆっくりと視線を入口付近に移動した私に移した。

タカヒロくんて本当かっこいいから、何処にいても何をしていても沢山の人に見られてるんだな〜ってそう感じた一時であって。

ソワソワ待っていた私の元に戻ってきて、又しっかりと宙ぶらりんになっていた手を握ってくれる。

きっとこっちを見ているだろう店員さんに背を向けて、二人でコンビニを後にした。


「すげぇ見られた…」


ボソッと呟くタカヒロくんは気まずそうな顔で私から目を逸らした。






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