運命の出会い1




人肌恋しい季節到来。


寂しいから


寂しいけど


誰でもいい訳じゃないんだ。


――――――――――…


合コン。

コンパ。

飲み会。

婚活。


いわゆる男女の出会う場で私は運命の出会いを果たした。


それは会社の同期の子に連れられて行った飲み会で、ギリギリまで仕事をしていた私はどーゆう経路でどんな人が来るとか何も知らなくて。

飲み会が始まってすぐ、残念な事に会社から電話がかかってきてしまった私はほんの15分程度席をあけてしまった。

戻ってきたら、最初に座った位置とは違う場所が空いていて、仕方なくそこに座ったものの、どうにもハズレな人と飲み合わせる事になっていて。


向かって一番遠くに座ってる人がパッと見、めちゃくちゃかっこよくて…

何とか喋りたいと思いながらも、目の前にいる人が物凄く話しかけてきて、その対応だけで精一杯で…

結局最後までその人と喋る事が出来なくて、せっかくのチャンスを棒に奮う事になってしまうなんて…


「家どっち?」


ショボンってしていた私にそんな声が聞こえたのは、飲み会もお開きになって最後に自分のコートをとった時だった。

コートを羽織った私のすぐ後ろにいたのはずっと気になっていた人で…

そういえば私名前すら知らない!

自己紹介の時、電話してたんだ。


『あ、えっと〇◆□駅のちょっと先の方なんだけど』

「え、マジ?俺もそっちの方なんだけど、一緒に行かない?」


ニッコリ笑ってそう言う彼は伏し目がちに私を見ていて、隣に来ると香水だか何だか分からないけど心地良い匂いがした。

黒いジャケットの下はカジュアルにジーンズを履いていて、何もかもをお洒落に着こなしている。


『うん!あ、私名前聞いてなくって…』


涼しげな顔立ちにサラサラな茶髪の彼は私を見て又優しく微笑んだ。

これは、運命と呼べるものなんだろうか…

彼が名前と共に差し出したのは携帯で、アドレスと電話番号を私に見せてくれて。

心が踊ったのは言うまでもない。




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